アクタウ 1月23日
寝台列車からはオレンジ色のぽつんぽつんとした灯りしか見えなくて、なんか寂しい街。アクタウには何もなさそう。
まだ夜明け前、となりで寝てた女の人を起こした。
バックパックを背負って駅を出た。
何もないがらんとした郊外。
まだ太陽が昇ってなくて街は白黒モノトーンにみえる。
中心からはだいぶ離れてるのかな?降りた数人の人たちは、ひとりずつクルマに吸い込まれて、どっかに消えていく。
あ、ひとりになっちゃった…
ま、いっか。
とぼとぼと中心に向かって歩いてく。すこし空が明るくなってきたかも。
乗り合いタクシーに声をかけられた。
安かったから乗っちゃえ。
タクシーはコンクリートの建物が並ぶ街を走ってった。無彩色で、無機質で、寂れてて、何もない。
タクシーから3人が降りて、またひとりになった。
そういえばカザフスタンのお金なかった。
ATMに連れてってもらったあと、決めてた安宿の前で降ろしてもらった。そのころには太陽が登ってて建物にも色が浮かんでた。
宿の前っていっても、この広い団地の何処かの部屋なんだよね…Booking.comで見つけたすごい安い宿なんだけど。
どうやって探そう?Tellは使えなかった。
団地のなかを行ったり来たり。いろんな人に話しかけてやっと宿が見つかった。
せっかく見つかったと思ったのにスタッフにあの価格はWEB予約だけっていわれる。まあ、そうかもしれないけど…いまから予約しても同じでしょって言っても聞いてくれない。
こうなったら意地でも払いたくない。
宿の前でテキトーなWifiに出鱈目なパスワード(12345678)で繋げて予約して、その場で払った。
意味あるのかな?この行為。
ひさしぶりに洗濯をした。
窓の前に洗濯紐を吊るしてどんどん干してく。窓の外にはアパートがあって、アパートの人の生活が見えた。
けっこうイイかもしれない、この部屋。シャワー壊れてるけどね。
シャワーを浴びてアパートをでる。廊下が真っ暗。鉄のドアにピッと電子キーをあてると鉄のドアが開く。
カスピ海にむかって歩いた。世界一ひろい湖のファーストインプレッションは荒涼とした海。
アクタウはただの港町で観光客なんてひとりもいなそう。
共産主義時代の無機質な建物が灰色の空に重そうに並んでた。人も歩いていなかったし。
フェリーの受付事務所まで歩いてく。子供のいない公園には遊具が置いてあった。
クルマはけっこう走ってるのにね、歩いてる人がいないね。
フェリーの受付事務所でカスピ海を渡るフェリーの予約をした。予約といってもフェリーはいつ来るかわからなくて、もしきたら連絡してくれるだけだけど。
フェリーのチケットは当日に港で買うみたい。何日も待つ人も多くて、もしかして素直に飛行機でイランに行けばよかったのかなって思ったりする(そのとおりです)。
なんか食べようかな、街の中心?みたいな場所でレストランを探した。
ショルダーバッグを開けると財布がなかった。宿に置いてきた…?きっとそうだろうけど不安になる。不安なまま過ごしたくなくて宿まで歩いてもどった。
この街にはレストランはあるけど、開いてるのかよくわからない感じ。なんかお店のまえが閑散としてて室内が暗くて、灯りついてないし。
歩いてもどりながら何軒かチェックして開いてそうな緑色のお店を見つけておいた。
部屋に戻ったら財布がベッドに置きっぱなしになってた。
よかった…
緑色の食堂に入ってスープとパンを食べる。
この街には廃炉になった原子炉があって、半世紀前のタイムカプセルが埋められてて…
ん、それしかないのかも。
殺風景で荒涼としてるけど、この街のそういうとこが好き。