イスラマバード 12月30日

朝のラーワルピンディーのバスターミナルは霧がかかってる。
何処に行けばいいかわからなかったから、今できること、小さな食堂で朝ごはんのオムレツを食べてた。
キルギットからいっしょに来てた人たちはいつの間にかいなくなって、1人でバスターミナルに残ってた。

パキスタンの男の人たちはショールを纏う。
頭からかぶったり、肩にかけてたり、ショールの内側から手が出てきてお金をわたして、また内側に消えてく。
そんな砂漠色のリキシャのドライバーが安宿に連れてってくれる。でもどの宿も泊まれなかった。でも走り回って探してくれる。
でもどこもダメ。泊まるのにパキスタンのIDカードが必要だから。

最後にバスターミナルの警察署に連れて行かれた。
警察官とチャイを飲んでたら近くの宿にIDカードなしで泊めれるようにしてくれた。
宿のオーナーが警察官に緊張してるのがわかった。パキスタンでは警察が強いのかもしれない。
あと、リキシャのおじさん、すごいたいへんだったよね。ホントにありがとう。
宿のオーナーが警察署を出ると自由になったのか少し横柄になったのが可笑しかった。宿はたったの500ルピーで少し汚かったけども、シングルだったし暖かいシャワーもある。
3日ぶりのシャワー。キルギットでは寒さが怖くて浴びれなかったから。

何もないラーワルピンディーの街をうろうろする。
何もなくない。
ものすごくいっぱいある。
ごちゃごちゃとした街。日用品や食料が雑然と売られてて、ヤギやロバが通りを歩く。
歩いてるだけで何人もの人たちがチャイを飲ませてくれた。
パキスタンの人たちにもらいすぎてる…お礼にティーカップを買おうとしたら、それまでプレゼントされた。
私が払いたいんだけど…
ダメだ、友達からお金はうけとれないよ

ご飯を食べたらお金はいらないって言われた。友達からはお金は受け取らないって言われる。
いつまでも止まらない会話。先に疲れるのはいつも自分だけど。

ちいさなゲームセンターで話してたら、ひとりの人が来月から日本で働くんだって言った。
外国人実習制度でマネージメントを教えてもらうんだって。
ウソだ…
日本に行く労働者はみんないうよ、日本でマネージメントを教えてもらうって。経営なんて教えてもらえないよ、工場で低賃金で奴隷みたいに働かされるだけだよ。
そう言ったら、わかってるよって寂しそうに笑った。
日本に来たら連絡してよ?できることはするから

すこしつらくなった。
さっきまで青空だったのに、夕日はすっ飛ばしてた。
暗くなって街のコントラストが強くなって、発生源の分からない喧騒の音が耳に響いてくる。