エレバン 2月16日
エレバンには骨董市があるんだけど、週末しかやってないって言われた。
週末しかやってないってホントかな?
旅をしてると聞いてたのと違うことが多すぎて、歩いて自分の目で確かめてみるようになってた。
家をでて南に歩いてると大きなロータリーにでた。
ロータリーとそれを囲う歴史がありそうな建物たち。きっと博物館とか銀行とか、たぶんそういう感じの雰囲気。
ココが街の中心なのかな、でもオペラハウスは反対側だし。
ロータリーのむこうの広場まで歩いてった。
なんだ…、骨董市やってる。
広場の両側にずらーって露店がたくさん開いてる。ずーっと奥の方まで続いてる。
陶器、シルバー、油絵、アクセや小さな工芸品かな?
台にたくさん並んだシルバー。ひとつひとつのデザインに意味がありそう。
聞いてみようか。
このデザインはどういう意味?
エターナルだよ
2匹の魚がおたがい食べあってるのは?
フォーエバーだね
それって同じじゃないの笑
どれも抽象的かわいさデザインでじっとみてると欲しくなる。
お店の人は若くて話してるとシリアから来たって。父親がコッチにいるから逃げてきたって。もう戻るつもりはないって言いきってた。
彼はコーヒーを作ってくれる。
砂糖がはいってなくて苦くて少しづつ飲んだ。
エレバンの骨董市はホントにイイのがいっぱいあって、買ってしまう…
もうこの先は買い衝動おさえないと。もう大きいのはバックパックに入らなそう?
市場の露店でサンドイッチを買ってベンチで座って食べた。
ヨーロッパのキャンパスってこんなイメージだったな。
人が少なくてアルメニアはのどか。
博物館にはお金が足りなくて入れなかったから、すこし離れたATMでお金おろしてきた。
博物館は広くて、展示されてるものに書かれてる時代が日本のひと回りもふた回りも古かった。
紀元前3000年の馬車とか、5000年前の宝飾品とか。
すごい古い国とは聞いてたけど、ここまで古いなんて。
子供用の鉄の動物もあって、それが小さくて丁寧で欲しくなった。
街の反対側まで歩いてく。
おとといに見た何処までも続く白い階段、あれって何なのか気になってたから。
裏通りの坂を上がると堅そうなゴツイ建物がみえた。
建物はマテナダランっていって研究機関らしいけど、スパイでも養成してるの?
聞いてみたら古い聖書の文字とかあつかってるみたい。
べつに見なくてイイかな。
白い階段まで裏道を歩いてると犬に吠えられる。
こ、怖い。
デカいし、繋がれてないし…
前を歩いてるお婆ちゃんはへーきそう。ぴったり寄り添って歩いた。
丘のてっぺんについた。
そこからは郊外が見わたせた。エレバンの街はココで終わりなんだ。
空の青と大理石の白の世界。
世界はここまで。ここから先は何もない。
そういえば、この白い階段の中は入れるみたい。
階段のガラスに入ると美術館になってた。
現代アートかな?
こういうの楽しい。
階段の上から下まで、ずーっとエスカレーターが通ってる。いくつかのフロアに分かれてて展示品してるみたい。フロアは別の部屋にも続いてた。
街は夕日でオレンジ色に反射してた。
階段に座ってぼーっとする。
そういえばイランを出てからあんまり話してないなって思う。
アルメニアはきれいだけどさみしい。
ひとりも好きだけど、旅でずっと話してきたから孤独に弱くなってる気がする。
気温がすごい下がってるのがわかる。
コーカサスの冬は寒いよね。
あのビル、さっきまで眩しかったのに。
ビルがひとつひとつ山脈の影に飲み込まれてった。