ケシュム 1月6日

黄色い大地の遠く、旗が風にふかれてて国境が近いのがわかった。
寝泊まりしてたタフタンの警察署からイランの国境までは歩いてすぐ。
国境の道にはどこまでも砂まみれのトラックが並んでる。
イランからパキスタンへ、パキスタンからイランへ。

パキスタンの国境を越えてイランにはいった。
フランス人がいっぱいいる。

ヒッチハイクするの?
え、あ、うん

フランス人のバックパッカーはイランに行くとヒッチハイクすると思ってるみたい。パキスタンでも言われた。
イランでヒッチハイクするの?

イランはホスピタリティの国。2年前もヒッチハイクが簡単にできたけども、いまの私はすこしつかれてた。
1週間前、アメリカがイランの軍部のトップを空爆で殺した。
自分のいる国で戦争になるかもしれない。

国境を越えてイランだー!って叫んだらイラン国境兵がパキスタンよりいいよって言った。
でも、パキスタンの人たちも親切だったよ
そういって笑って手を振った。

ダーヘダンまで乗り合いタクシーで走ってく。
一人旅、周りは灰色の山岳。ポリスから離れられて自由になった気がする。

パキスタンは寒すぎて風邪で咳が止まらなかった。だから南の島までバスで行くことにした。
バスターミナルのショップで国境でもらったSIMカードをセットしてもらう。
電話をかけてクイズみたいなのに答えるとインターネットに数日間つなげるみたい。ペルシャ語はわかんないから手伝ってもらった。

バスの窓ガラスに雨の水滴がぽたぽたついてくる。
バスはガラガラで快適…でも窓の外の山岳地帯の冬の雨は冷たそう。

バルチスタンを越えてバスを降ろされた。乗り換えるみたい。
だから空いてたんだ…
でも乗り換えのバスがつかまらなかった。
雨の中、食べ物を口に含んだスタッフが次々にバスドライバーに話しかけてる。

ハイウェイにぽつんとあるコンクリートの小さな空き家。
バスを追い出された数人が暗闇で震えながら待ってた。
けっきょくザーへダーンまで戻って乗り換えさせられたけども、もうへとへとだった。