コーチン 11月3日
コーチンから鉄道で北へ15時間ぐらいでゴアに行けるって。
インドの鉄道にはコツがあるみたいで、宿のお兄さんがいろいろアドバイスしてくれた。
昼便は暑いからエアコン車が快適だけど窓の外はあまり見えない
夜便は風が涼しいし眺めがイイからエアコンなしがオススメ
今日の昼便の寝台は昨日でチケットが売れてしまってる、二等座席なら乗れるけど足の踏み場もないほど人がぎっしりだから君にはムリ
今日の夜便の寝台に乗るなら離れた駅まで行ってチケットを直接買うしかない
明日の昼便なら宿で予約できるけど、君はインドの景色が見たそうだから今日の夜便のエアコンなしに乗った方がイイよ
だって
話してて調子が良くてボディタッチの多い人だけど強引に今夜も泊めようとしてこないし、ホントに親切なのかもしれない。
とにかくおしゃべりで、一緒にいてつい笑ってしまう。
彼のアドバイスに従って今夜発つことを伝えたら、駅までチケットを買いに行くトゥクトゥクを予約してくれた。
エアコンなしの寝台はSLといってゴアまで400ルピー(1ルピー=3円)、エアコンあり寝台は3ACといって800ルピー。やっぱりインドの鉄道はとても安い。
チェックアウトしてバックパックは預かってもらった。
毎日行ってたTea pot cafeは紅茶だけじゃなくて、朝食もおいしいらしいけど早すぎて閉まってた。
メインストリートで1つだけ開いてた2階のレストラン。インド式ブレックファーストを頼むと豆のカレーとチャパティとミルクティーで120ルピー(360円)。
インドからしたら高いと思う、やっぱりフォートコーチンは観光の街なんだね。
窓際の席で外の通りを眺めながら食事、誰も2階まで上がってこない。逆光が眩しいけど1人の時間とカレーがとてもおいしかった。
宿に戻るとトゥクトゥクが停まってる。きっと私を待ってたんだ。
トゥクトゥクの運転手は昨日の民族音楽のチケットを予約してくれたおじさんだった、宿のスタッフの人かと思ってたけど違ったんだ。
うーん、この人は愛想がないんだよね…。宿のお兄さんはいないし。
コーチンには2つ駅があるんだけどどっちなんだろう?
東にある大きな駅(エルナクラム・ジャンクション・サウス)とその北にある駅(エルナクラム・タウン)
さきにトゥクトゥクに乗って東の駅へ向かった。
橋を渡って20分ほどで駅についてカウンターへ行く。ところが北の駅じゃないと今夜のゴア行きのチケットは取れないって。
こっちの駅じゃなかったんだ…
トゥクトゥクに戻って伝えると、おじさんは納得した感じで走り出す。
周りの景色をみてると、あれ?橋を渡ってる?フォートコーチンまで戻っていってない?ちょっと待って!北の駅にいってくれないの?
200ルピーじゃダメだ400ルピーって言ってくる、400ルピーって1200円じゃないか…
払わないつもりはないけど、少し北だし倍の距離じゃないよ?
300ルピーにまけさせたら、かわりに提携してる店を見ていけだって、そんなのイヤだよ。私だってどっちの駅か分からないのは最初に伝えてたし、いま違ったからってフォートコーチンに当たり前のように戻るのは許せないよ。
説得して300ルピーで北の駅に向かってもらう。
橋を引き返して北の駅の奥の方にあるカウンターで今日の夜のゴア行き寝台チケットがやっと買えた。
帰りは橋を渡らずにフェリーに乗って戻った。
こっちみれてよかったかも。
フェリーからは広い運河をたくさんの異国の船が走ってるのが見えたから。
フェリーを降りるとなんと途中でガスが切れてしまった。
うーん…おじさんとトゥクトゥクを2kmほど押して歩くことに。なんか笑っちゃったけど、青い空にどこまでも続く長い道は気持ちいいし、こうやってのんびり戻るのもイイのかもね。
宿にもどったらお兄さんが帰ってきてた。なんでトゥクトゥクが迎えに来たときに宿にいなかったんだって思ったけど、チケット買えたしいっか。
お兄さんが運転手は問題なかったか?だって。
問題はありありだったけど、何もないよって言った。
遅いお昼ごはんを食べにレストランへ向かう、本場のココナッツライスが食べてみたかったからおばさんに頼んで作ってもらった。
フィッシュカレーとココナッツライスを食べてるとインド人のお兄さんに声をかけられる。
いいバッグだね、バッファローの皮だね
へぇそんなのわかるんだ?
僕んちこない?
ふふ、行かない
出発の時間までフォートコーチンを歩いた。仲良くなったおじさんに食事に誘われてたんだけど行かなかったことを思い出した。
その時に出会った海沿いの公園はまた会いそうだったから避けた。
そういえばアーユルヴェーダもしたかったな、何軒かあるみたいだけど高そうで避けてたんだ。きっと3000円しないし、日本だと高いだろうし。
ダブラ売りの青年といろいろ話した。初日に断ってたからもう売ってこない。
インド人は本当におしゃべりだし、フォートコーチンは狭いよ、たった3日いただけで顔見知りになってしまうんだから。
街を歩いて顔を合わせると何人かと手を振り合うようになってた。
近くの教会に入ると中は木でできてて、あんまり有名な教会じゃないのかもしれないけど雰囲気があって好き。
しばらく天井を見上げてぼんやりする。
出発までまだ時間があったのでTea pot cafeでコーヒーシェイクを頼んだら、これが苦みがあって信じられないくらいおいしい。
今夜ここを離れることをマスターに伝えた、このカフェには毎日来てたから。
外は真っ暗になった、出発の時間。宿の人のバイクの後ろに乗せてもらってバス停までつれてかれた。よく分からないまま乗せられたバスに乗ってエルナクラム・タウン駅へ。
途中で道に迷って聞いたりしながら駅についた。
ホームは人でいっぱいで座る場所もない、うろうろしてると昨日のバックウォータークルーズで一緒だったイギリス人のおじいさんに再会する。
このおじいさん1人でインド旅してるんだって、私と同じで夜の便でゴアに向かうんだって。
頼りない感じだったけど今まで世界中をいろいろ旅してるみたいで、インドは30年ぶりなんだって。
ふたりで話してると先に次の便がホームに来てしまう、1時間以上遅れてるってことかも。
深夜になってゴア行きが到着。
明日ゴアで会おうね。
おじいさんと別れて別々の車両に乗り込んだ。
これが深夜特急なんだ…
バックパックはチェーンで繋げておいた。
リットル30円のミネラルウォーターを飲んでると、ガタって振動がしてゆっくり走り始める。
座って足を伸ばして窓の外を眺める。
インド西海岸を15時間の鉄道の旅、人のいないガラガラの車内。
窓からの夜風、遠くに民家の灯がみえた。