ゴリス 2月12日
橋はホテルから30m先で、その橋を渡るとバス乗り場。ここからでも5人ぐらいが柔らかく集まってるのがみえる。
カパンの街ではみえる位置になんでもある気がする。
アルメニアの街はとても小さいから。
でも風が冷たくてダウンを着なきゃいけないぐらい寒かったけど。
ベンチに座ってたら、おばさんにゴリス行きは隣だよって言われた。
錆びたコーヒー自販機がぽつんと置いてある。
カップの自販機って屋外であまりみないから違和感を感じる。
残ってたコインを入れてみた。
カフェオレ?これかな?銀色のステンレスのボタンを押した。
奥からカップが出てきてコーヒーが注がれてく。
ベンチに座って手を温める。
うん、ふつうのコーヒーだね。うれしい。
旅でぜいたくを味わうのに大金なんていらない。
赤いバンに乗り込んで、いちばん後ろの席の窓際にすわる。
北のゴリスの街へ走り出す。
街から出ると(すぐに出る)、窓からみえるのは急峻な山岳地帯になった。
空気も澄んでるから?岩肌がリアルに感じる。
ゴリスについたのはお昼ぐらい。
降りたらタクシードライバーに声をかけられるた。
タテブ修道院に連れてくれるみたい。
あ、んー…
タテブ修道院は絶壁に造られてる。
アルメニアに来たら絶対見なきゃいけないような遺産だった。私もそのためにゴリスに来たんだし。
タクシーしか行く方法がないのも知ってた。だから避けて通れないよね。
午後2時に連れてってもらう約束をした。
ねえ、ここらへんに安宿ない?
こっちだよ
ドライバーは通りに面したアパートの1階の呼び鈴を押す。
ドアのむこうから暗い雰囲気のおばさんが出てきた。700円で泊まらせてくれるみたい。
宿というよりホームステイだね。
ピアノのある広い部屋を貸してくれる。隣にはボロいけどシャワールームもあった。
おばさんが紅茶とケーキを作ってくれる。
ありがとう。
すごい落ち込んでる感じ。
旦那さんが半年前に交通事故で死んだって言ってる。写真を見せてくれた。
だから、ため息が多いのかな。でも異常にため息が多い。
ハァーってもしかしたらアルメニアの「はい」なのかもしれない。
2時までゴリスの街をうろうろ。
アルメニアの街は空間が広いなって思う。人がすごく少ないからだろうけど。
町外れまで歩くとカッパドキアみたいな奇岩の丘がみえた。
その展望台みたいなとこでおじさんが歌ってる。なんでひとりで歌ってんだろ?
すこし頭がへんなのかも。
私が近づいたら、すごく頑張って歌いはじめる。
約束の2時、タクシーでタテブ修道院へ。
ゴリスをでたクルマは草原の道を走ってく。
草原をまっすぐ走る1本の道。
標高が高いのに見渡すかぎり草原が広がってる。
あ…、気持ちイイかも。
すこし寒かったけど窓を開けた。ちいさく歌ってみた。
ドライバーが指さした先、崖の上に黒い影がみえる。
逆光でまっ黒にしかみえなかったけど、それが中世の建物なのはわかった。
きっとあれがタテブ修道院なんだね。
クルマはうねうねと登ってく。
修道院は崖の上にぽつんとあると思ってたけど、小さな村がくっついてた。
ココで何百年も修業してたんだよね。
いまみえてる景色、中世のときと同じなんだろうな…
ドライバーはもっと崖の上まで連れてってくれる。
あー、よくみるタテブ修道院の写真はこの峠から撮られてたんだ。
他にもいろいろ連れてってくれる。
なんだかうれしそうに説明しれくれる。
でも、もうつかれたから帰りたいな。
ゴリスの街まで帰った。
別れたとき、すこしさみしそうにみえた。
着いたときは夕方だったのに夜になった。あっという間に真っ暗になる。
街にあったカフェでご飯を食べた。