サマルカンド 1月11日
中央アジアを旅してるとなんでだろ?同じ日本人に何度も会う。
こんなに広いのに。
ひさしぶりに日本語が話せて楽しい。
でも、せっかく遠い海外に来てるのにと感じてきてた。
グループでこそこそ話してるような感覚、気持ちがその国の人たちから日本側に向く感覚。
それが遠い外国にいるっていう旅情を壊してしまう。
気がついたらそういう群れを避けるようになってた。
教えてもらえたとおりに鉄道のチケット買いにいく。レギスタン広場をこえて、公園をこえて、学校をこえた先。
けっこう遠いな、すごく暑いし。木陰から木陰に歩いてった。
大通りに面した綺麗なチケット売場には旅行者が数人。思ってたより簡単にブハラまでのチケットが買えた。
つかれたから外のカフェでアイスを食べた。色鮮やかで合成着色料かも?でも味はおいしい。
店内を見渡すとおじさんが1人でアイス食べに来ててかわいかった。
グーリ・アミール廟というモスクへ。
公園の大通りをわたって、緑の小道を歩いてく。
大きなティムールの像が道の真ん中に立ってた。モンゴル帝国を追いだしたウズベキスタンの英雄みたい。
小道のとなりにはモスクみたいなホテルが並んでた。綺麗だけど高いんだろうな。
グーリ・アミール廟に入ってすこしして日本人ツアー客がぞろぞろとやってきた。
いっしょに混ざって日本語の説明を盗み聞いた。
この廟はティムールや親族のお墓みたい。そんなことより天井の黄金のタイルが細かくてきれい、ずっといつまでも見てしまう。
廟外にはアラビアの建物に3つの入り口。中庭には木が一本ぽつんと立ってる。
それぞれショップになってて陶器とか売っててかわいい。
お店のおばさんといろいろ話してると陶芸の家で生まれたんだよだって。
うん、すこしほかのお店とデザイン違う気がする。
アトラス模様のボタンと小さな陶器をディスカウントしてもらえた。
ウズベキスタンの人たちは欲がなくてホントに明るい。
サマルカンド最大の遺跡、レギスタン広場へ。
向かい合う3つの巨大な建築物。遠くからいつみても唖然とする大きさで、そしてものすごく壮麗だった。
ティムールがつくった公立の神学校で、学費は無料で国じゅうから優秀な学生が集まってたんだって。
すごいなって思う。とても進んだ社会だったんだ…
今は世界的な観光地としてお土産物屋さんが入ってるけど。
お土産を見てると英語がぺらぺらな少年が話しかけてくる。買う気がないと分かってもイヤな顔せずにおしゃべりを続ける。
お金貯めて海外に行きたいんだって。
物価のとても安いウズベキスタンから海外に出るのはすごくたいへんだと思う。
海外を旅できる自分たちは恵まれている、そしてそれは運がよかっただけ。いつだってそれを自覚してないと傲慢になってしまう。
奥の建物にはいると天井がすごかった。金と青の組み合わせってこんなに綺麗だったんだ…
お土産もデザインがよくて素敵。欲しかったけど高そうだった。
小さな庭で日本人ツアー向けのショーをやってた。ツアー客以外は庭から追い出されていく。
ツアー客じゃなかったんだけど隠れて混ざってみてた。
かなりつまらなかったけど。
ウズベキスタン人のツアーガイドに話しかけられる。
六本木にいたんだよ、へー家賃高いでしょ?日本人のポールダンサーの彼女がいるんだ、え?何それw
夜、お腹が減ってバザールをうろうろ。
うー…レストランがみつからない。
小さな食堂に入ると薄暗くて中庭で何人かがチャイを飲んでる。
食事できるのかな?
中庭のまんなかの大きな鍋でプロフを炒めてた。
プロフはチャーハンみたいな感じなんだけど、味がもっと濃くておいしい。
朝にまとめて作って売り切れたら終わりみたい。作りたてがいちばんおいしいみたい。今は夕方だけど。
マンティは大きなひき肉の餃子で香ばしい。
プロフとマンティを頼むとうまく言葉が通じなかったみたいで、10個のマンティが大皿に乗ってくる。
た、食べきれないよ…美味しいけど。
チャイで無理やり流し込んでも2つで苦しくなる。
やっぱりムリ…
食べきれないって言うと問題ないよーってビニールに入れてくれた。
そのときはお腹が苦しくて見るのもイヤだった。
すごいおいしいのに…
今でも思い出すとお腹いっぱいなのもったいないって思うし食べたくなる。
捨てれないな、ホームレスにあげよう…
サマルカンドの夜をホームレスをさがしてうろうろ歩いた。
真っ暗で街灯もない夜道。
どこか遠くから、おばさんたちのおしゃべりと笑い声が聞こえる。
モスクの巨大な壁がシュールレアリスムみたいな影をつくってる。その闇の中を8個のマンティを手に足元を気にしながら歩いてた。
ふと、見上げると塔の向こうにまぶしい月。
ああ…すごい…月夜のモスク。
アラビアンナイトの世界。
きっと1000年前もこれを見た人がいるんだ。
こういう瞬間が、偶然の連続の先にあるこういう瞬間だけは。
ぜんぶが自分の物になる。