ソンクル湖 1月1日
ユルタで朝ごはんを食べたあとストーブで温まってた。
外は標高3000mの世界。昨日の夜も吹雪で夜空はみえなかったし、今だってめちゃめちゃに寒い。
窓のないユルタのなかは暗くて、ときどき入り口の毛皮が風でまくれて隙間から眩しい光がはいってくる。
ストーブから離れたくなくて。
スニーカーを温めて雪を溶かしてると気持ちがよかった。
外からクラクション、そしてきたよって声。
今日はコチコルの街までもどることになってた。その4WDがきた。
バックパックを担いでユルタの外へ。めちゃめちゃに眩しい真っ白い世界。
ずっといっしょにいた遊牧民族の家族と写真を撮ろうとしたらiPhoneの電源が落ちた。きっと寒すぎるから。
手をふってわかれる。3日間ありがとうね。
私の1.5倍はありそうな巨体のドライバーがにこにこ笑いながら自分の家族を紹介する。
いっしょに乗ってコチコルまで行くみたい。娘ふたりで何も気にしてないみたいだった。
4人でソンコル湖畔を走り出す。
どこまでも続く白い平原。
あまり雪景色は好きじゃない、草原だったらよかったのになって思う。
北は雪でふさがれてしまってるみたいで南を迂回していくって言ってた。
ときどき馬や羊の群れと会う。寒くないのかなって思った。
4WDは雪の平原を越えて谷を越えてく。
みえる景色が異世界のようなスケールだけど、写真に撮ってもスケールが伝わらないこともわかってた。
クルマは峠にでた。
山脈がどこまでもどこまでも続いてる。
白い息。
世界の屋根、パミール高原。
ドライバーの娘が赤い木の実を集めはじめた。
食べれるのかな?ひとつ食べさせてくれたんだけど甘くない。茂みに入っていっしょに集めた。できるだけ大きくて綺麗なのないかな。
川で休憩。もう1台に乗ってたのはフランスからきたツーリストみたい。あまりに寒くて1日で帰るコトにしたって言ってた。せっかくキルギスの秘境に来れたのに、なんかもったいないなって思った。
旅の計画。
キルギスのあとはウズベキスタンに行きたいんだけど、南のオシュから国境を越えるつもりだった。
コチコルは北にある街、北には行きたくない。
南のナルインで降ろしてもらえるか聞いたらヒッチハイクで行けるって言われた。
乗せてってはくれないのね。
峠を越えて国道沿いのカパタニって場所で降ろしてもらう。
ここでドライバーとはお別れ。ばいばい、握手して手をふる。
周りをみると荒れ地にトイレ?ぽつんとあるだけ。
こんな場所でヒッチハイクなんてできるのかな?永遠にクルマがこなかったりして…
すこしのあいだ道沿いにぼーっと立ってた。
あ、クルマ!?手を上げると停まってくれる。
10mぐらい離れてるクルマに走った。
運転席の人にナルイン!って伝えたら後部座席を親指でしめされる。
乗せてってくれるみたい。やった!
クルマは家族で小さな赤ちゃんも乗ってた。英語は通じないけど空気がやさしかった。
峡谷を抜けると広がる大地にナルインの街がみえた。
ターミナルで降ろしてもらった。ありがとうね。
手を振ってわかれた。
なんもなさそうな街。ナルインは道路の横に家がぽつぽつあるだけの村って感じ。
街の端のほうに宿があるみたいで歩いてく。
迷子になって道端のおばあちゃんに聞いたり。スクールじゃないよホテルだよ。
うろうろしてやっと見つけた宿。
あ、広くてきれい。
テントじゃなくて暖房のある宿で寝れるうれしさ。
とにかくシャワーを浴びたかった。ソンクル湖では浴びれなかったから。
シャワーを浴びた。
もしかしたら風邪ひいてるかも。あんな寒かったもんね。
温かいスープをもとめて街の中心に暖かい物を食べに行く。
でもターミナルの周りにレストランがない。
田舎だなー、うろうろ。
小さなチャイハネに入った。
おっさんたちがチャイを飲みながら小さなテーブルで談笑してる。
せまいテーブルにぎゅうぎゅうになって座ってる。
うー、入りづらい、でも食べるならココしかない。
ラグマン(大きな餃子)を頼んでせまい端でチャイをすすってたら色々話しかけられる。
英語はもちろん通じなかったけど。
こんなキルギスの田舎で、ふふってなった。
あと、宿にもどって洗濯した。
ストーブで乾かしてたら水蒸気だと思ってたのに煙がでてきてた。
Tシャツが焦げた。せっかくインドで買ったのに。