タシケント 1月8日
砂丘にぽつんと佇む小さなバス停。
そこからは遠く眼下にシムケントの街がみえる。
クルマが通り過ぎると砂煙がすごかった。
今日はウズベキスタンの国境を越える日。
けど、間違えてよくわかんない場所にいる。
すこし疲れててぼんやりする。
ネットで読んだ国境の越え方には、まず大通りに行く、そこから111のバスに乗るって書かれてた。
その通りにしたら辺鄙な場所にきてた。
でも、景色すごいし…これはこれでよかったのかも。
きょうの朝、バス停でおじさんに聞くとちょうど今動いてるのがその大通り行きのバス。
走り出したバスを追いかけようとしたら大丈夫またすぐ来るよってバスのコインをくれた。
おじさん優しかったな。
おじさんに次のバスに乗せられて、人でごった返す大通りで降りた。
周りの人に聞くと111のバス乗れば国境に着くみたい。ここまでは読んだとおり。
言われるままに何台目かで来た111って書かれたバスに乗った。
googlemapでみると国境まで40km以上離れてる。ホントにこんなローカルバスが40kmも離れた国境にいくのかな?
怪しいなって思った。
バスはシムケントの街を出て郊外の村へ入る。国境はまだまだ遠い。客層も荷物が少なくて国境を越えるよーな空気ないし。
となりの客に聞くと、え?違うよだって。
やっぱり…またシムケントに戻らないとダメっぽい。
降りたら砂煙舞う丘のうえ。
ぽつんとバス停だけがあってかわいかったけど。
疲れてたのと眼下に広がるシムケントの街がきれいでぼーっとしてしまう。
結局シムケントに戻って地球の歩き方に書かれたバスターミナルまで歩く。
バスターミナルには親切でないおばさんがいて話がはっきりしない。
自分で国境に向かう乗合タクシーを見つけた。
ほっとする。
何時間かムダにしたけれど、丘からの景色きれいだったし迷子も楽しかった。
乗り合いタクシーは南へ走り続ける。
どこまでも続く荒れ地。
荒れ地にぽつんとある橋のたもと止まった。
ココで別のタクシーに乗り換えるみたい。橋の下に何台かタクシーが停まってる。
降りたのは私だけだった。
タクシーに乗って国境へ。
砂漠に白い巨大なイミグレが立ってる。遠くからだとアラビアのお城に見えた。
入り口の手前で両替してくれてウズベキスタンの税関申告書も書いてくれた。
イミグレに入ると樽のように太ったおばさん達でいっぱいで戦場みたいに押し合ってた。
これはたいへんだ…
ぼーっと立ってるとドスドス歩くおばさんにボンって弾き飛ばされた。
長蛇の列に並んでると男の人に君はゲストだから一緒に来いって声をかけられる。
手を引っ張られてすいすいと行列の先頭の係員まで連れられて何か言ってる。
なんと通してくれた。
みんな並んでるのに悪いなって思った。私たちをみた別の旅行者も同じように通り抜けようとしてたけどなぜか断られてた。
ウズベキスタンの国境は3時間かかるって聞いてたけど、男の人のおかげで20分で通れた。
男の人も私を利用して早く通り抜けたかったんだと思うけど。
やっと来たんだウズベキスタン。
かつて世界一の大国だったティムール帝国、青の都サマルカンド。草原の民。
なんか実感がわかない。
国境から首都のタシケントまではバスがなくてタクシーしかないみたい。
タクシーの青年が50ドルを両替してくれて、分厚い札束がいくつも渡される。
ウズベキスタンはものすごいインフレって聞いてたけど。これは数えるの大変そう。
途中で青年のお父さんに運転が変わってタシケントの街をタクシーでわざわざ案内してくれる。ガイド料取られるんじゃないかって思ったけど、そんなことなかった。
ウズベキスタンの人たちは旅人にとても親切だった。
予約してた安宿へついたけど誰もいなかった。
宿の前で困ってると通りがかったおばさんが宿に電話してくれる。やっぱり無人だった。
しかたなく歩いて近くのホテルへ。値引いてもらって1500円だった。
ちょっとひとりには広すぎかな…
夕方、地下鉄まで歩いて北西のバザールへ。
丸い巨大なドームみたいな建物がバザールで精肉とかが整然と並んでる。
キルギスやカザフスタンより陶器や織物が多いなって思う。シルクロードって感じ。
バザールを越えて路地裏を歩いた。
狭い路地が迷路みたい。歩いてると行き止まりになる。
ここらへんは旧市街みたいで夕陽に照らされて子供たちがサッカーをしてた。
ウズベキスタンはすごくゆっくりしてて穏やかだなって思う。
バザールにもどってモスクへ。
生まれて初めてのモスクで緊張する。他の人の真似して壁に向かって頭を垂れた。
もう足元がみえないほど真っ暗になってた。
ウズベキスタンの童話みたいな地下鉄に乗って宿にかえった。