タブリーズ 11月22日

タブリーズの郊外にはカンドヴァンっていう奇岩の村があって…
トルコのカッパドキアみたいな。
きのうレインボーマウンテンを見に行って不思議だったし、楽しかったから今日も近くまで出かけることにした。

タブリーズからオスクゥまでは乗り合いタクシーで行った。
そこでカンドヴァン行きのバスに乗り換える…

オスクゥの街でバスを探してウロウロしてたら、ルパンみたいなおじさんに声をかけられた。
カンドヴァンまで100でいいよっていう。
かなり距離があるし2人乗せるのかなって思ってたら私ひとりで走り出した。
え?客を集めないでいいの?

ルパンはトルコ系みたい。そういえばトルコっぽい雰囲気も感じるし、トルコから来たのかも。
娘がひとりいるって言ってた。
こっちをあまりみない、どこか寂しげな雰囲気で静かに話してた。
強く押したら倒れてしまいそうな雰囲気。

フロントウィンドウには小さな女の子の人形が飾ってある。
ルパンはそれを愛おしそうに撫でた。
まさか人形が娘なんじゃないよね…

外の景色は絶景でどこまでも広がる丘陵地帯だった。遠くには雪をかぶった山までみえる。
夜は寒いっていう。
彼はゆっくりとクルマを走らせる。飛ばす人が多いのにイランではめずらしいなって思う。

カンドヴァンに入るには入場料金が必要みたい。
たった100リアルだけど、彼は自分で払ってた。私に請求しないのかな?

カンドヴァンの街は地方の観光地って感じで売店やレストランが並んでる。
ルパンは私を奇岩の上まで連れてく。
彼は足が速くて、私は階段が急で買ったばかりの靴で足が痛くなる。
彼はときどきボソボソと説明をする。ちいさく笑う。

岩には窓がある。
ということは岩の内側をくり抜いて住んでる人たちがいる。
硬かっただろうに…こんな奇岩に家を造ろうだなんてよく考えるなって思う。
小さなお土産屋さんでチャイをご馳走になった。

ルパンとひとしきり歩いたあと、別れの時間がきた。
ルパンはオスクゥにもどるけどどうする?って聞いてきた。私はもうすこし歩いてみたいって言った。

いいんだろうか…
なんか後悔しそうな気がする。
やっぱり、このおじさんの寂しそうな空気が気になる。
一緒に帰るって言ったらおじさんは嬉しそうな顔をした。私はこのルパンみたいなおじさんが好きなのかも。

窓を開けて風をよびこむ。
クルマはやっぱりゆっくり走ってく。風がゆっくりで気持ちがよかった。
ルパンにトルコ料理は最高だって言ったらわらってた。

そして、おじさんは最後までお金を受け取らなかった。いっしょに写真を撮ろうとしたら警察に怒られるからダメだって。
あとでわかったけど。
彼は白タク、つまり違法タクシーだった

どうか彼が満ち足りた人生を送れますように。

そういえば帰りにタブリーズを歩いてたら糸のお店が並んでた。
太い糸で聞いてみたら絨毯の糸だって。
さすがペルシャ絨毯の国、セーターを編むように絨毯を趣味で編むのかなw