テッサロニキ 1月22日

目が覚めたら朝の4時。
お祈りは2:30からだから、今いそいで行っても十分に遅い。きのう巡礼で歩いてきて疲れてたし、しかたないって思う。
寝てようかなって思ったけども、お祈りも今日が最後だって気がついた。

真っ暗い中庭には誰もいない。
中心に立ってる教会まであるいてく。

暗い廊下に並んだイコンにキスをしていく。この修道院では正教徒じゃないのに中の部屋に入るのはダメって言われてたから、外の廊下の椅子に座った。
暗くて気づかなかったけども、廊下の暗がりに僧たちが無言ですわってる。
1人じゃなくてよかった。

お祈りが終わると隣の食堂に歩いてく。空はうすく明るくなってた。
古い木のテーブルに僧たちと並んで朝ごはんを食べる。
オリーブ食べたかったな…今日はすこしさみしい。
今日は巡礼最後の日。
そのかわりだけど、きのう遅くまで話した僧がお菓子をたくさんくれた。

ギリシャではお菓子をたくさんお土産に渡すんだよ

それにしても食べ切れない量だから、旅の途中で会った人たちに振る舞ってくことにした。

バックパックを背負って海まで歩いてく。海には2台のバンが止まってた。
バンに乗って島の中心にもどった。
といっても小さなカフェが2軒あるだけだけども。

カフェでぼーっとしてると、この4日間であった人たちと次々に再会する。
禅のお洒落なおじいさん。このひと知的だけどもおしゃべりだし引っ張りまわすんだよね…
妻にクスリを買って巡礼でいっぱい歩くって言ってた敬虔なおじさん。真面目だからか、禅のおじいさんが苦手みたい。
ひとりでお店を見たかったから、気がついたらおじいさんの誘いを断ってた。

この4日ですごいマイペースになれてる気がする。禅のおじいさんにも振り回されなくなってるのがわかる。

ギリシャにもどる船に乗った。
甲板は風が強くて、パキスタンのショールをまいた。
このままアテネに行こう、夜サロニキについたらバスを探さなきゃだ。

サロニキまでのバスの中、もらったお菓子をあけてみた。
ビスケットがいっぱい入ってた。
食べてたら現実と思考の区別がつかなくなった。記憶だと思ってたのが数分前の思考だったりする。

このまま気が狂っていかないよね?きっとマリファナでも入ってたのかもしれない

そう思いながら、窓の外の紫色に落ちてく黄昏をみてた。

郊外のバスターミナルでアテネまでのチケットを買った。
深夜になって食堂が閉まって追い出された。
すぐ横には乱暴な感じの男の人と生活の荒れてそうな女の人がビール瓶片手に話してる。
夫婦なのかな?ちょっと違う気もする。

深夜のバスターミナルには3人だけ。
そのドームみたいなバスターミナルはめちゃめちゃに寒くて、バスはいつまでも来なかった。