パランガン 11月15日
宿の前でお父さんが待っててくれた。
昨日、レストランでアリーダと仲良くなって今朝はアリーダのお父さんがバスターミナルまで連れてってくれることになってた。
サナンダジュはイランでも標高の高い位置にあるから緑と水が豊か。
街には紅葉樹が並んでいて、絵に描いたような秋を感じる通り。
クルマはそんな通りを走ってお父さんのオフィスについた。
そこで働いてるスタッフを紹介してくれた。
アリーダのお父さんはサナンダジュで家の売買をしていて、ここは4つあるオフィスの1つみたい。
キッチンでご飯を食べさせてもらった。
クルドの音楽を聴かせてくれた。ミュージシャンはお父さんの友達みたい。その音は草原と馬が走ってるみたいだった。
食べ終わるとバスターミナルまで連れてってくれた。
パランガンという村に行くにはカーミャーラーンで乗り換えなきゃいけない。
そのバスはイランにしてはボロくて小さかった。
でも乗ってる人たちは田舎の人たち…というか信心深くて穏やかな感じ。
2時間ほど待ってたら、バスは出発。

窓の外は枯れた草原が続く丘と曇り空。
なんだか寂しい風景。
今が秋じゃなくて春の緑と青空だったら、どれほど美しかったんだろう。
このバスはサナンダジュからケルマーンシャーという街まで向かうけど、私は途中のカーミャーラーンで降りた。
ここから乗り合いタクシーでパランガン村に行く。
カーミャーラーンは思ってたより大きな街。
ターミナルは驚くほど寂れた荒野の交差点で小さくてボロいチャイ屋がぽつんとあるだけ…
ココ、本当にイランなのかなって思う、パキスタンみたいだ…
イランではずっとピカピカで美しい街ばかり見てきたから興奮する。

乗り合いタクシーは280トマンで60km離れてるのに驚くほど安い。
4人だと1人70トマンで100円ほど。
1杯10トマンの紅茶を飲みながらお客さんが集まるのを待ってたんだけど、チャイ屋さんの店主が冗談ばかり言う人で面白かった。
パランガンまでは広大な丘陵地帯が広がってた。
やっぱりここでも思った。もし今が春だったらどこまでも緑だったのかな…
そう言ったらドライバーさんが「春よ来い!」って言った。
宿はパランガンに着いてタクシーで降りた目の前の宿にした。
700トマン、キッチンにトイレが付いててバルコニーまである。部屋はとても広くて綺麗だった。
バルコニーからは谷に張り付いた家々がみえる。
村は美しいというよりも汚い感じがした。雨で塗れてるからかもしれない。家畜の匂いがすごくて迫力があるからかも…
家畜のせいか部屋には数匹のハエが飛び交ってた。
外で雨が降り続いてる。
気がついたら寝てたみたい。
お腹が減ったから、傘を持って食事にでかけた。
立派な石の階段を降りてく。傾斜が急ですべりそうになる。
レストランは村の奥の方にあった。ケバブを食べてると空は完全に真っ暗になった。
帰り道は何度か迷子になった。
対岸から犬の遠吠えが聴こえる。ザーザーと雨は降る。
真っ暗な夜とどこに続くかわからない石段。その石段は雨に濡れて黒くひかってる。
ホラーみたい。
なんかRPGの街のようにも感じる。
部屋にもどってほっとした。

