ブエノスアイレス 1月11日

2階も1階もトイレが使われてた。階段を行ったり来たりしながらドアが開く瞬間を探してた。
そういえば朝ごはんどうしよう?
朝早くからカフェに行くのもイイかもしれないけど。8時から開いてるとイイけど。

ロビーを通り過ぎる時にホテルの小さな子供がカウンターで遊んでた。一緒に遊ぶ。コインを重ねたり、針金に小さな輪っかを通したり。
私が何かするとケラケラと笑う。この周りを気にしない感じ、きっとたくさんの旅行者に遊んでもらってきたんだろうな。
子供なのに大人に慣れてるのってきっとイイ事だと思うよ。目が大きくてホントにかわいいから、将来はすごい美男子になるよ。

ホテルを出て7月9日大通りに出る。片側8車線の世界一広い道の上半分は青く晴れた空になってた。
左手に少し進むとカフェ発見。
入ってコーヒーとクロワッサンを頼む。今日はどうしようか?
地球の歩き方をペラペラめくりながら、5月広場と近くのカテドラル、大統領府に行ってみようかな。でも、その前に昨日のホテルに移動しなきゃ。
食べ終わって会計でペソがなかったのでドルで支払ってホテルに戻った。
バッグに荷物をつめて、おおらかな黒人のおばさんに鍵を返してチェックアウト。ホテルを出る時にさっきの子供と紐を使って少し遊ぶ、ドアの柵越しにバイバイ、ホントにかわいい…頭を撫でたいな。

昨日のホテルまで歩いて10分程、受付は昨日の人じゃなかった。
まだチェックインは出来ないし、お金も払えなかったけど両替はしてくれる。1ドル10ペソ、昨日のホテルは11ペソだったけど。街で両替したらもっとイイんだろうけど。

キャリーバッグを預けてホテルを出ようとすると。
う、ドア開かない?
しばらくドアと格闘してるとお兄さんが手伝ってくれる。開錠スイッチは押しっぱなしにしないと。
あー押しっぱなしでドア開けるのね。

さて、ブエノスアイレスの街、今日は1日歩き回る。
地球の歩き方に最初に載ってる5月広場まで。5月広場は余り人が居ないというか、太陽を遮る木が少ないし休む雰囲気じゃなかった。
道路を渡ってカテドラルに、中はとても広くてきれい。左右の小部屋を眺めたりして、しばらくぼんやりしてから大統領府に向かう。

大統領府は入る時にセキュリティが厳しかった。
広間には歴史の人達の肖像画や写真が飾ってある。チェ・ゲバラ以外誰だか分からないや。
中庭に出たので座ってしばらくぼんやり。
2階の通路を歩いてる人達もいるけど、どうやって2階に上がるんだろ?ガードの人に聞くのもメンドい。
上がる階段を探すけど封鎖されてる。そのまま裏口から出ると遠くに巨大な西洋建築が崖の上にそびえてた。
あれは中央郵便局?なんであんなデカいんだろ?
リマの最高裁判所もめっちゃデカかったけど。

 

 

ショップの並ぶ通りを歩くとカンビオ、カンビオの声。カンビオって両替のコトかな。
しばらく歩くけど休めそうな場所は余りなさそう。
お昼ごはんを食べに7月9日通りをてくてくと歩くと少し高そうなカフェ、入ってみるとそこまで高くなかった。
イチゴのアイスと小さいワインボトルを頼むと結構な量。
でも美味しいし、コパカバーナのがっかりストロベリークリームとは比較にならないよ。
外には大声のアメリカ人の集団。
横の女のコ達は食べ物をたくさん残してる。
地球の歩き方を見ながら行きたい場所を探すと、毎週日曜日に骨董市が開かれるそう。ちょうど日曜日だし。コレって行けってコトだよね?

 

チェックインの時間が来たのでホテルに戻った。入り口でブザーを押すと何か言ってくる。名前を言うとドアが開いた。
このホテルは壁じゅうに落書き…じゃなくてアートが描かれてた。
部屋の中やドアにも描かれてた。

部屋はエアコンはないけど広くてきれい。リオデジャネイロみたいな殺人的な暑さじゃないし。
やっぱり天井まで5mぐらいの高さがある。

バッグを置いてドレーゴ広場まで歩いた。途中でトトロの描かれたお店があったり(レストランだった)、少し道を間違えたりしながら。
広場に近づくと視界の遠くにたくさんの出店が見えた。あまり広くない公園にびっしりと並んだ出店には絵やアンティークの食器、装飾された箱、アクセサリーが並んでて見ててたのしい。

 

 

おじいちゃんとおばあちゃんが座ってるお店に並んだアンティーク時計。眺めてたら欲しくなってきた、箱から出して見せてもらう…いくら?1000だね。1000ペソ(13,000円)~イイかも。
いや、ドルなんだよ。
13万円!ムリ、またね、チャオ!

あきらめて骨董市を散策、古い地図や銀食器や瓶を眺めたり、中心でやってるライブを見ようとしたり…

 

 

 

アンティークの時計、やっぱり気になる。南米旅行の記念に一生使うつもりで時計買うのだったらイイのかもね。
帰国しても旅の記憶を手に巻いていたいかも。でも高いし悩むよね。

また、さっきの時計を見に行く。
この280ドルのかわいい、でも今はホテルにお金があるから。
5時まではやってるしホテルに届けてもいいよ?
あーそれメンドウだから今から取ってくるね。

早歩きでホテルに戻った。
ベッドにお金を並べて数えるとブラジルレアルが余ってるのでドルと合わせて足りそう。
急いで骨董市までもどった。往復40分は疲れた。
おじいちゃんが計算すると200ドル分にしかならないとか。
そんなコトないよ~レート低いよ~
長時間の交渉、英語が通じないので筆談。
じゃあ、まけてあげるよ。ありがとう。お礼に使ってた1000円の時計あげるよ。
いらん、持って帰りなさい
その場で左手首に巻いてもらった。嬉しい
日本に帰ったとき、時計屋で聞いたら1930年代の時計だった。

満足したし交渉で疲れたので近くの古いカフェでコーラを飲んだ。
骨董市の雑踏をぼんやりと眺めてたら、お店の女の人に話しかけられた。
日本人?
そうそう
レッドノートってアニメ知ってる?
デスノートなら知ってるけど?
ノートに名前を書くと人が死ぬの
あー、オリジナルは漫画なんだよ
人気あるね、ドラゴンボールも
悟空と悟飯だよね
日本はやっぱりお寿司?
うん、ココではいくらぐらいなの?
500円もして高い
え~日本だと100円ぐらい
アディオスって日本語で何ていうの?
さようなら
さようなら、あ、あなたに言ったわけじゃないよ、クレイジーは?
狂ってる

とりとめない会話、コッチはカタコトの英語だけど、すごく明るい人。
近くでスカの路上ライブ。前に出て音楽に合わせて踊り始めたのは老人ばかりで、この街はイイ歳のとり方をするんだなって思ったら。
みんなと手拍子をしてると手からポロリ、ん?あ~買った時計のガラスが外れてる!拾ってみるとプラスチック。
ガラスじゃないのか…付け直したけど、いつ外れるか不安…

近くではタンゴとギターの弾き語りもあって通りはお祭り。
この通りは2kmに渡って両脇に出店が並んでいて、骨董市は公園よりも通りがメインみたい。
にぎやかな空気に誘われて自然と足は隣の店へと移って行く。面白そうな物があれば触ってみたり、写真を撮りながら歩く。
人形劇、木のお香、針金で作られたブローチ、木製のノート、色々な材料でできたマテ茶、たくさんの油絵、アンティークの缶、レトロな看板、古めかしい小さな宝石箱、抽象画的なアクセサリー、何処からか拾ってきた様な瓶、路上ライブやDJとタンゴ…

雑踏のなかで、視界に飛び込んでくる風景。時折ライブを聴きながら、ミネラルウォーターを飲みつつ、気がついたら5月広場まで歩いてた。
すごい、こんなトコロまで続いてるなんて…
日本にこんなに大規模の骨董市はなくて、これが毎週開かれてるのが羨ましいなと思った。

歩いててもさっきみたアクセが頭の中に引っかかってる。
少しクレーっぽい抽象画的なアクセは他ではみれなかったし欲しいな。でも、もう夕方だし、この距離を戻るコトを考えると躊躇ってしまうけど。
買わないと一生後悔する気がする。
歩いて戻る。
旅なんだからゆっくり歩けばいいよ。
お店に戻っていくつかのデザインから1番気に入ったのを選ぶ。教えて貰ったんだけど鉛筆を材料にしたアクセサリーみたいで1000円。
やっぱり戻って良かった。

久しぶりに買い物をして気持ちが満足したのでホテルに帰った。
カウンターでタンゴだったりライブやってる小さいBarがあるか聞いてみる。地球の歩き方に載ってるような劇場で高いタンゴを見るのもイイかもしれないけど、私は小さいBarで他のお客さんと手拍子しながら目の前で見る方が感動できる気がした。
最初に教えて貰ったお店はちょっと遠い。
うん、他の
地図に印とお店の名前を書いてもらう。
部屋に戻ってシャワーを浴びて気づいたら寝てた。

目が覚めたら夜の10時。少しメンドウになってだらだらしてしまう。今行かないと後悔するし、行った方が絶対に楽しいのが分かってるのに。
ホテルを出たのは深夜11時前に。

ブエノスアイレスで強盗に遭った話も聞くのでiphoneは置いてった。
写真撮れなくなるけど。

夜のブエノスアイレスをてくてくと歩いて行く。
怖いので早く大通りに着いて欲しい。
大通りを左に折れて目的のBarに近づくと低音が響いてきた。

街角で打楽器を10人ぐらいで叩いてて周りで盛り上がってる。
昼に通った骨董市には深夜になってもお祭りの空気が残ってた。みんな名残惜しいんだね、
みてる人達も楽器を借りて入れ替わりセッションに参加してる。
私もいっしょにたいこを叩いた。

見てたら急に声をかけられる、昼間のカフェの女の人!
わぁ偶然だね!
笑顔で握手!すごい大きい音!
日本にもこういうのあるの?
代々木公園でやってるけど、こんな時間まではやってないかも。

周りも楽器を片付け始めたので、祭りの空気が残る通りをドレーゴ広場に向かって歩いてった。
カフェで飲んでる人達や路上ライブは昼より盛り上がってた…、出店は終わっていたけど、みんな楽しそう。

広場ではせまいスペースに並べられてるテーブルでたくさんの人達が飲んでる。
そして音楽の流れるなか、老人から若い人まで、みんなタンゴを踊ってる。
プロではないのかも知れないけど、音楽に合わせて全員がぴったりと動きを合わせててびっくり。
踊っている人達も見てる人達も楽しそう。

公園全体がどこか懐かしいような空気。
ああ、すごい、ブエノスアイレス。
こんな深夜まで街の人が楽しんでる。それは何か夢のようで、あきらめてた幸せを見つけたような気持ち。

少し何か食べよう、タンゴやライブやってるトコがイイな。
狭い公園の周りを覗いて1軒の小さいステージのあるカフェに入るけど、めっちゃ忙しそう。
次々と外のテーブルに料理を運んでるみたいで注文しづらい。なんとかして良く分からないスープを頼む、スペイン語分からないから。
小さいステージではギターのタンゴの曲の演奏が始まっているけど、店内にお客さんが少ないのと、みんな話すコトに夢中で聴いてない。
なんとなくかわいそう。
しばらくしてスープがテーブルに、ホワイトソースにじゃがいもやワンタンぽいのが入っていてチーズをかけて食べるんだけど、とても美味しい。
問題はスプーンがないコトで…忙しそうなのでキッチンの近くから勝手にスプーンを取ってきたら、親切に慌ててスープスプーンを持ってきてくれた。
食べ終わって、ギターの演奏も終わって名刺を渡される。タンゴのギター。

外に出て、深夜なのにまだ続いてる大人数のタンゴ。
コンクリートの段差に座って足をぶらぶらさせて音のリズムに合わせて靴を壁にコツコツと当てた。
この街の夜の幸せな感覚、儚くて壊すのは簡単なんだろうな。だから気づかないフリして、壊れないフリをして。
1曲終わる度に、みんなで拍手をしながら。iphone持ってこれば良かったかなと思うけど、写真より記憶のイメージがもっとキレイになるコトもありそう。たとえば今日とか。

最後に曲が終わって、みんなで拍手して、タンゴを踊ってた人達もわらってる。
灯されてた電灯も消されて、終わってしまうと少し寂しい気持ちになる。
公園の反対側でやってる小さい路上ライブを見てたら、またそれも終わった。
灯りも消えていってしまう。
まだ帰りたくないな。
祭りの後、もう深夜の2時、ホテルに向かって人もまばらになった通り。祭りの残りを探して歩いた。
ずっと、あの時間が続けばよかったのに。
あ…、遠くの方から音が聞こえた。最初に見た打楽器の人たち。場所を変えて続けてたんだ…
小さな街角でいつ迄も終わらない小さなお祭りに、走ってった。