ブカレスト 4月20日

私はルセ宿で部屋に閉じ込められてた。部屋の内側からも鍵で閉めるドアだったんだけど、閉めたあと鍵をなくしてしまって部屋から出られなくなってた。

もちろん部屋の中に鍵があるハズなんだけど…こんなの簡単に解決しそうだったのに…

ベッドの下もポケットの中もバックパックの中にも見つからない、だんだんと血の気が引いてくる。

 

明け方に鍵がないのに気づいて、もう数時間、部屋を探し回って途方にくれてる。窓は人が出れるほど開けれないし、私のiPhoneは国際電話もかけれなかったし。

けっきょくドアを叩いて助けを呼ぶか、外を歩いてる人に大声で助けを呼ぶしかなさそう。で、ずっとドアを叩いてるんだけどな…

 

それから数時間後、やっと外を歩いてる人を発見!

ヘルプミーって大声で呼んで、宿の人をなんとか呼んでもらって部屋のドアを開けてもらえた。 鍵をなくしちゃったのに宿の人はぜんぜん怒らなかった。鍵代も取られず、ほんとゴメンナサイ。ルセ駅までの道順も丁寧に教えてくれた、もし鍵が荷物から見つかったら送ってねって。

握手して別れる、今日は鉄道でルーマニアへ向かう日。

 

公園を抜けて団地を抜けて歩いてく…アレ?この駅ちがう?道順を教えてもらってたのに間違えて貨物の駅へ向かってた。

数キロ歩いて途中で気がついて、引き返すけど、その時にはなんかもう疲れてた。泣く泣くタクシーをつかまえて駅へ、たった3Lv(180円)だったけど。

 

ルセ駅は石造りの立派な駅舎。国境を越えてブカレストまで20Lv(1200円)で14:30発で17:30着、チケットを買って1回ホームの場所を確認したあと駅を出てお土産とレストランを探した。

 

 

ブルガリアはココで最後だから、バラの香水を8.5Lvで買った。

近くのカフェで肉だんごのスープとパン3Lv(180円)を食べた。ブルガリアって食べ物もおいしいし安くてサイコーだったなって思う。スープとパンなら200円以下でお腹いっぱいにできた。

 

 

レストランの外にあったキオスクでポテトチップスを買ってく。

ホームのベンチに座って鉄道がくるまでぼーっとする。駅舎の向こうにとーーんって抜けた青空がひろがってる。

鉄道は30分ほど遅れてやってくる。乗り込んでテキトーに空いてる車両の空いてる席へ。チケットに指定されてた席の周りは人がいっぱいで窓際じゃなかったから、ガラガラの車両に移動してきた。

 

パスポートを駅員が回収してしばらく待ってると返してくれる。

めくるとブルガリア出国のスタンプが押されてた。鉄道で国境を越えるのは生れて初めてで、すごいドキドキしてた。

 

ガタンとゆっくり走り始めたユーロトレイル、しばらくして巨大な川にかかる鉄橋を越えるんだけど、これがドナウ川?ひろーい!なんとなくインドみたいな景色、すごい景色、ヨーロッパぽくないなって思う。

10分以上かけてゆっくりと鉄橋をガタゴト、席を立ち上がって反対側の窓を開けて風を受けた。

 

途中でミネラルウォーターがなくなって喉がカラカラ。

途中停車駅で降りたけど売店がない。駅員が飲み水の場所を教えてくれて、水道からがぶ飲みしてると哀れに思ったのか奥の売店に連れてってくれた。でもここはもうブルガリアの国境を越えてて持ってる通貨のLvが使えなくて、ルーマニア通貨のLeiじゃないとダメって言われる。

駅員が私のサイフに残ってたコインを両替してくれた。

うーいろいろ世話を焼いてくれる、そんなに私が頼りなくみえる?

 

コーラを買って列車に戻る。駅だと思ってたけどルーマニアのイミグレだったみたいで、パスポートを渡してルーマニア入国のスタンプが押されて返ってきた。

 

そして、また鉄道は北に走り出した。

地平線まで続く穀倉地帯を走り続ける。曇り空も私の知ってるルーマニアのイメージにぴったりだった。

 

夕方、予定の時間をだいぶ遅れてブカレスト北駅へ到着。

この駅は治安がとても悪いと聞いてたから、早く通り抜けようと思ってた。そそくさと15Euroだけ両替してすぐメトロへ。

ブルガリアと比べると近代的な街並みでびっくりする。2週間もブルガリアにいたから田舎の風景に慣れてしまってた。

 

メトロを降りて宿まで歩いてく。

ブカレストは大都市だよ、歩くの大変だよ。30分かけて辿りついた宿は最安だったのに、シャワートイレエアコン朝食付きで18Euro、めっちゃ安い。

スタッフの対応最悪だし、すこし雰囲気が怪しいけど気にしない。

wifiを繋いで着いたことを連絡したら、治安で心配してたから安心してくれた。

 

シャワーを浴びて洗濯をして宿を出た。夜のブカレスト、旧市街へ向かう途中でコーラを買っててくてく歩いてく。

東欧のパリって言われてるみたいだけど、ホントにそんな気がする。建物がブルガリアよりずっと巨大で古くて道が広い。 たどり着いた旧市街はオープンカフェが並んでて、ものすごい人の数。みんなビールを飲んでるみたい。ルーマニアってこんなに栄えてるんだ…人がまばらにしかいなかったブルガリアとぜんぜん違くて緊張する。

 

私は節約でコンビニでパンとチョコを買って広場のベンチに座って食べながらぼーっとする。

こういう古い街並みでカフェしたかったんだけど、こんなに人がいるなんて思わなかったし、ベンチの方が居心地がよかったから。

 

オープンカフェの間を縫いながら歩いて、あるカフェの2階へ上がる。

みんな外で飲んでるから2階は誰もいないのがみえたから。

 

静かで居心地のイイ空間。

ここはルーマニア。東欧の街角でコーヒー1杯で窓の外の喧騒を眺めながら、夜が深く更けていくまでぼーっとしてた。