ブハラ 1月14日
サマルカンド駅はかなり遠くて、鉄道の発車まで時間もあまりなさそう。
歩いたら間に合わないかもしれない。
しかたないよね、北の通りで相乗りタクシーに乗った。
他の人たちがぜんぶ降りて、最後に残った私をドライバーが駅まで運ぶ。なんか変な方向行ってる…うまく「駅」って単語が通じなくて道を間違えてた。
あ、見たことのある光景、街中を走る1本の線路。いつ見たんだっけ?コレが線路だよって教えてくれたのは誰だっけ?その時バイクの後ろに乗ってたような気がしたけど、もう思い出せない。
タクシーは砂煙を上げて線路に沿って走ってく。初めて見るサマルカンドの駅は近代的で空港みたい。
入る前にパスポートとチケットのチェックを受ける。建物の入り口でも荷物を機械に通す。
ホントに空港みたいだ。
駅の中も休憩室やたくさんのベンチ、TVが置いてあって設備も空港みたい。未来の駅ってこんなふうになるのかもしれない。
やってきた鉄道は最新でシートも広くて快適。300km走って600円ほど、すごく安い。
時間通りに走り出して、車窓はだんだんと草木のない荒野に、そして砂漠になる。
こんな近未来の鉄道が砂漠を走ってるなんてって想像してしまう。
音楽を聴きながらどこまでも続く地平線をみてた。
ブハラに着いた。といっても15km離れたカガンって街。ここからタクシーかバスで移動しなきゃいけない。
バスで行きたかったけど、見つからなくてタクシーでブハラへ。
並木通りを飛ばすタクシー、けっこう遠いなー。
地平線のむこうに巨大な茶色い建築物、すごいバベルの塔みたい。ドライバーか指さして「ブハラ」って言った。
ブハラの中心は池とそれを囲う宿街。街並みはアラビアンナイトだった。
バックパックを背負って池の周りを歩いた。きれいだなって思う。きれいすぎるぐらいに。キャラバンみたいな宿やレストラン、絵画や革製品。
そういったのが雑然とでなく、きれいに並んでた。
宿をさがさなきゃ。裏通りにはいって小さなホテルで少年が店番をしてた。
1泊20ドル、15ドルで探してるんだけど…いいよ15ドルで。
中庭は葡萄?みたいな蔦が黄色い煉瓦にからまっててきれい。
お願いして2階の通りに面した部屋にしてもらう。部屋の窓を開けると通りとそこを歩き回る人たちがみえた。
すごくいいな、身を乗り出すと窓から落ちちゃいそうだけど。
着替えて洗濯して街を散策。
池の周りは観光地化されてる。てくてくと歩いてく。
通りを抜けた。
すごい、雲ひとつない青空と黄色いレンガのモスク。まるでシュールレアリズムの世界。
音がしない?無音の世界、なんでだろう、クルマが走ってないから?
何もない、無色透明な世界。
狂ったみたいに写真を撮った。
モスクに入るとおばさんたちが服を売ってる。いろいろ見ていきなよって話しかけてくる。涼しげで素敵なシャツがいくつか。アラビアの生地。
別に買わないって分かってもイヤな顔をしない、もう客じゃないあなたに興味ないって反応もしない。
すごく反応が柔らかくてほっとする。
すこしうれしくなって、おばさんたちといっしょに話したり、お茶飲まされたりしてた。英語は通じなかったけど。
モスクに入るとがらんとした中庭。
モスクの柱の影が太陽で強烈なコントラストを作ってる。
時間が止まったみたいな、音のしない世界。
こんなゲームなかったっけ?
世界に誰もいなくて、不思議な建造物だけが、ぽつんぽつんとある。そしてその建造物には古代からの謎があったりする。
青空を真っ白い鳥が今日は1羽だけで飛んでた。