ブハラ 1月16日
公園の中に小さな遺跡がぽつんぽつんとある。
モンゴル帝国に破壊されないで残った数少ない遺跡のひとつみたいでめちゃめちゃ古い。地下に湧水が出てる遺跡は今でも湧水が出てた。
今日はブハラを出てヒヴァに行くから、見れてない観光を終わらせるつもり。
町外れに打ち捨てられたような城壁があった。古いのかもしれない、でも、ただ打ち捨てられてただけで周りには誰もいなかった。
土でできた城壁を滑り落ちないように登る。遠くが見渡せる。ココは埃っぽいね。
町外れはノラ犬が多かった。
城壁の横には小さなサーカスがあって、スピーカーからガリガリと割れた音で無駄に楽しそうな音楽だけが鳴ってた。
誰もいないように感じる。管理してる人いないのかな?
錆びついた人形たち、怖いピエロの古そうな看板。
入り口は錆びついた鎖で錠がかかってる。
砂漠の無人のサーカスかな?
アゴラ城に登った。最近までココをスルタンが治めてた?んだっけ?城内には役所とか政府があったみたい。いまは骨董品とか売ってた。
トイレの受付の人と話してると、いいとこに連れてってくれるって。
手をひっぱって連れてかれる。なんだろ?
アゴラ城の奥にある鉄の錠前を開けてくれた。
開けるとそこからはブハラの街が一面にみえた。建物も何もない荒れた丘の上。
すごい…アゴラ城の裏門の奥がこんなになってたなんて…
転ばないように石や岩を避けながら、端まで歩いた。
滑ったら落ちちゃいそうだな。黄色いブハラの街、風が強かった。
ブハラはサンスクリット語で僧院って意味なんだって。
宿に帰って出発の準備をして、駅まではタクシーで向かった。
駅はものすごく綺麗。まるで空港みたい。
鉄道は深夜発の夜行列車、まだ数時間あるけど綺麗だし、休むとこいっぱいあるから楽しかった。
バックパックを置いて駅を探検する。
祈祷所、休憩室、シャワーや売店。
ホームで夕陽をみてた、日が落ちて急に寒くなったから、見られないように長袖に着替える。
ホームの電光掲示板が派手なイルミネーションでパフォーマンスしてた。
あれ?雲?
ホームの10mぐらい上を雲みたいな白い霧が流れていく。なんだろうコレ、手を伸ばしても届かない。
寒い日に道路の上を霧みたいなのが走るのは見たことがあるけど。
これは白い浮く雲みたいだ。
いつまでも消えないで、ずっと見てたいから。
夜中にやってきた寝台列車は古かった。
自分の席に行くと何人かの人たちがベッドに座って談笑してる。
ウズベキスタンの人たちはおしゃべりで、外国人の私は質問攻めにあう。
ひとり英語が話せる人が通訳をして言葉を伝えあった。
お互いの写真を見せたり、パスポートを見せあったりして盛り上がってると別の車両からも人が集まってきた。
みんな笑ってる、なんでこんなに純粋なんだろ?
なんか小さな子供のころに親戚の家に集まったときの感覚。
誰かが普通に街の人たちが好きだよって言ってたのを思い出した。
緑の粉を渡されて、飲みこまないで口に入れてごらんって言われた。
この緑の粉、バスの運転手やタクシードライバーが口に放り込んでるのを見たことある。
手のひらに乗せて口に放り込んだ瞬間。
あっつい!
強烈なハッカみたいな味。汗がドバドバ出てきた。
トイレに吐いてくるとみんな笑ってる。
聞いてみると紙たばこみたい。紙たばこってこんなに強烈なんだ…
ぐわんぐわんしてきたから、ベッドによじ登って横になった。
揺れを感じながら天井を見上げた。
ウズベキスタン、こんなに楽しいなんて。
きっと鉄道は夜の砂漠を走ってるんだろな。