ブラショフ 4月22日
朝、宿を出て郊外のバスターミナルへ。ブカレストは大都市でなんか殺伐としてて疲れたし、北のブラショフの街へ行こうと思った。
ブラショフではプライベートルームに泊まってみるつもり。プライベートルームって民家の部屋を借りて、その家族とすごすので安いみたい。駅やバスターミナルで家主さんが客引きをしてるみたいだから宿の予約はしてなかった。
トラムを2回乗り継いでバスターミナルへ、今朝もチケットがどこで売ってるか分からなくて、無賃乗車してしまう。見つかると罰金で緊張する。でもトラムが好きで乗りたくて。でも、無賃乗車がバレるのが怖くて途中でトラムを降りて歩いてく。
バスターミナルの入口が分からなくて、道をぐるっと大きく回ってた。
入り口に着いたら、ちょうど大型バスが出発してた。カウンターに行くといまのがブラショフ行きのバスだって、まあいっか。
すぐ1時間後のチケットを44Lei(1100円)で買って、直射日光を避けてコンクリートにバックパックを降ろして座ってぼんやりする。
1時間後にバスが来た、確認したらブラショフ行きで間違いないみたい。
ブルガリアでわかってたんだけど、東欧のバスはほとんどシートの予約がないみたいで席は早い者勝ち。最初にバスに乗って1番後ろの席を取ったけど、まだ人は少なかった。
10:30にバスは北の街ブラショフへ向かって出発。
太陽が眩しくて反対側の席へ移った。窓の外を見てると道路でクルマがひっくり返ってる…交通事故があったのかな。
街を抜けて郊外の空港を越えて、休憩所で休んで、いつの間にかロッジの並ぶ山道へ。そして渋滞につかまった。
退屈になって後部の2席で横になって寝てた。
15:00にブラショフ到着。
ブラショフの駅前は思ってた古都のイメージと違って近代化されてた。もっと中世っぽいのかと思ってたけど…
ココでプライベートルームの客引きを探さなきゃだ。
が…、うろうろしても誰も声をかけてこない、それに客引きが誰かもわからない。声がかけられるまでうろうろしてたりイスに座ってたり…このままじゃ夕方になっちゃうよ。
同じように髪をパステルカラーの虹色に染めたバックパッカー女子がうろうろしてて、似た空気を感じてたら声をかけられた。
彼女は黒海沿いの街コンスタンツァで今日明日に開催される音楽フェスに行きたいみたい。それは急がなきゃだ。ブカレストまでバスで4時間かかるよ、そこから乗り換えないと。すこし話をして別れた、フェスに間に合うとイイな。
プライベートルームはいくら待ってもムダだったしwifiもつながらないから最後の手段、タクシーのおじさん達に声をかけた。
2000円以下のシングルで旧市街の近くって宿ないかな?
何人かが相談して1人のおじさんのタクシーに乗せてもらった。が、走り始めて宿に確認したらフル。路肩に停めておじさんのスマホで宿を検索させてもらう。どこもいっぱいみたい。
うーん…30分もスマホいじってたかも、おじさんの知り合いらしい1件の宿が空いてたみたい。中心部で1晩100Lei(2500円)だって、すこし高いなって思ったけどしかたなし。
連れて行ってもらえたのは旧市街から歩いて3分のペンション。髭の生えた大きな子供たちが恥ずかしそうにニコニコしながら私をみてる、日本人が珍しいんだろうね、コンニチハとか言ってくる。
部屋は屋根裏部屋でバストイレ付きでこじんまりしてかわいい。なにより窓から見えるブラショフの街並みが最高だった。
しばらく通話してシャワーを浴びて洗濯をして旧市街へでかける。
ブラショフの街並みは、ブカレストのような重厚さと違って中世の地方都市って感じ。
通りにはオープンカフェが並んでて賑わってて、その通りの向こうに巨大な黒い教会がでんと居座ってた。
パステルカラーのかわいらしい建物が並ぶ通りを歩く。
なんとなく1人じゃオープンカフェは入りにくくてケバブ屋さんへ、量が多くて8Leiだった。
黒の教会まで歩いていくと、教会の前は広場になっててオープンカフェでいっぱい。中心にはステージが組まれてて、お祭りが開かれてるみたい。
しばらく待ってライブが始まったけど微妙だった。
もう夕方で教会には入れなかった。
中にはルーマニア最大のパイプオルガンがあるみたいで、なんと明日の夕方にはその演奏があるとか。これは行かなきゃだ。
そのまま教会の裏手にあるシナイ地区へ。ここも旧市街らしいんだけど、そのまま住宅街でカフェとかショップはなかった。
ぐるっと歩いて広場に戻ってくると聞き覚えのある曲、あ…映画アンダーグラウンドの曲!
ユーゴスラビアのことはよく知らないけど、ルーマニアはナチスドイツとソ連、その後のユーゴスラビア、民族が独立し、お互いに殺しあったんだっけ。
ステージでは大人数のブラス楽団が騒がしいジプシーの演奏をやってる。
管楽器をブカブカと吹き鳴らして、ドラムの低音がドンドン響いてくる。
気がついたら広場の人たちが手を取り合って踊り始めてて、楽団がステージから降りて、いつの間にか輪になってぐるぐると広場を回り始める。
あ…いいな…この感じ。
ブエノスアイレスの深夜の公園で踊り続けたタンゴみたい…。
簡単に壊れてしまいそうで、だから気付かないフリして踊り続けてるような感覚。
胸が潰されるような気持ちになってずっと観てたら、踊ってたひとりにぐいって手を引っ張られて踊りの輪の中に引きこまれた。老人も若い人もカンケーなくステップを踏んだ。
教えてもらいながら踏んだジプシーのステップ、音楽に合わせて続ける。
気が付いたらもう夜の11:00を越えてる。
このまま音楽が鳴りやまなければイイのに、ずっと明日なんて来なければイイのに。