帰国 2月29日
中国からスタートしてヨーロッパへ、2ヶ月の旅の終着駅。
このあと、イスタンブールではいっしょにいた人とケンカして別れたり、変な島に連れて行かれたり。
ただ、ずっと雨が降ってた。
帰国でモスクワ空港のゲートに行ったら目に飛び込んできた日本人の群れ。そのとき自分はこれから汚くなるんだってわかった。
書いてもしかたないかも、だから日記はココでおわり。
キルギスの宿にはすごいハエがいっぱいいて、天山山脈で急に寒くなったと思ったら上空を雲が通過してて、吹雪の中エンストしてる真っ赤なトラックを押して笑った。
ソンクル湖でひとり叫んだ、風邪をひいてたけど踊り続けた誕生パーティー、カザフスタンの国境の人混みで手を引っ張って抜けさせてくれたっけ。
国境沿いの橋のたもとに集まるボロいタクシーたち、ウルグトのチャイハネでおじいちゃんが買ってきてくれたコーラ、夜道で見上げたら影のモスクのむこうに月が見えた、音のしない青と黄色のブハラの街、死ぬかと思った緑の噛みタバコ、ばらばらな4人で砂漠を疾走した乗り合いタクシー、灼熱の砂漠を走る鉄の貨物列車がカッコ良かった。
共産党時代の真っ赤なホテルの床をはしってたネズミ、国境で撫でてたら懐いた犬、その街には廃炉の原子炉と巨大なタイムカプセルしかない、イラン国境で指紋を取りながら笑って書いた漢字、いっしょに過ごした寒くて眠れない月夜の砂漠、ヒッチハイクで食べおわったザクロを放り投げた、真っ赤なネオンが飛び込むボロい巡礼宿はサイバーパンクみたいだったね。
黄色い塔が地平線の向こうまで続くヤズド、誰もいない渓谷にあるアルメニアの国境、ずっとYoutubeで音楽を流してた家、お婆ちゃんの作った汗が出るベリーチャイ、国境を越えるバスでお酒を飲まされてふらふら、山岳鉄道からみえた青白い湖と茶色い大地に電柱がずっと続いてた。
たくさんのふるまわれたチャイと柘榴。
ぜったいに、ぜったいに、忘れちゃいけない。
これは、そのために書かれた日記。