ラワールピンディ 7月4日

ラホールの気温は40℃を超えてた。
40℃を超えると、扇風機をブンブン回すとドライヤーみたいに熱風が吹いてくる。シーツに汗で人の形ができる。

宿はバックパッカーズって有名なラホールの安宿。すぐとなりにインターネットインっていう似たような安宿がある。
私はかなり安くで泊まらせてもらってた。
オーナーからは他の人たちに宿代を言わないでねって念を押されてた。

いっしょに旅をしてきたスペインの人は昨日の朝に出ていってた。
彼は北の国境からアフガニスタンに向かうって。
私はイスラマバードに向かう。
列車は夕方に出発で、チェックアウトまで宿で時間をつぶした。ラホールにはエアコンのあるお店がほとんどなくて、歩いてるだけで地獄だから日中は外に出たくなかった。でも宿で待ってるあいだもすごい暑くて、私も朝の便にすればよかったって思った。

べつにイスラマバードに行きたいわけじゃなくて。
行きたいのはフンザ。
4000mのパミール高原は涼しいだろうから。

メトロに乗ってラホール駅まで。エアコンのあるお店を歩きながら探したけどやっぱりなくて。
列車が来るのは5時間もあとで、ベンチにバックパックをチェーンでグルグルに括り付けてウロウロしてたけど、それでも暑くて楽しくなかった。
バナナを買ったら大きなふさに小さなバナナがいっぱい付いてて暇つぶしに食べてた。

鉄道が来て、近くの人に確認したら私のシートまで案内してくれた。
なんとエアコンが効いてる。信じられない、うれしい…AC車両に奮発してよかった(すこしだけど)
同じボックスにはイスラマバードに帰る家族とオタクのパキスタン人がいっしょだった。
家族が作ってきたサンドイッチをふるまってくれる。旦那さんはハンサムで優しそうだったし、奥さんもすごい美人だった。
サンドイッチはとっても美味しかった。
中央アジアのムスリムの文化では食事をするときは周りにもふるまうのがマナーだったりする。

オタクとアニメとゲームの話をしたりしてたら、だんだん眠くなって上の寝台で眠った。
起きたら一人になってた。
声くらいかけてくれたらいいのに。

イスラマバードには着いたみたいで周りが騒がしい。正確にはラワールピンディっていう隣の街なんだけども…
この付近は外国人が泊れる宿は限られてる。安宿をみつけるのがむずかしくて、探すのがたいへんだったりする。
高いホテルなら簡単に外国人も泊まれるんだろうけど。お金がなかった。

予約してた宿に行ったら太ったおっさんがここじゃないっていう。
同じ名前だけど別のホテルだって。あんたの予約した宿はイスラマバード市内にあるって言われた。
ほんとだ…よく見たら住所がちがう…
仕方がないからバイクタクシーで同じ名前のホテルまで連れてってもらった。

ラワールピンディからイスラマバードまではそれなりに離れてて…
パキスタンの街はごちゃごちゃとカオスだけど、イスラマバードは新しくできた街で区画が綺麗にわかれてた。
そして夜のイスラマバードはキラキラとネオンが輝いてラスベガスみたい。ラスベガス行ったことないけど…

予約した宿のイケメンスタッフに外国人は泊まれないって言われる。
う、ってなった。
またこのパターンか…っておもう。安宿を探し回るのはもうイヤだった。
スタッフに困ったフリをしてたら、ちょって待ってって電話して何か確認してくれる。パキスタンの人たちは困ってる人にすごく親切だし、そのことも知ってたし、困ってれば何とかしてくれることも私は知ってた。

このホテルにいきなよって紙に書いて教えてくれる。
書かれた住所までバイクタクシーに乗ってラワールピンディまでもどったら、なんと最初の宿だった。
太ったおっさんが、フンって感じで笑う。私も笑った。
市内の宿に行っても泊まれないって教えてくれればよかったのにね、とは思うけど。

この太ったおっさんは二つのホテルのオーナーだった。だからホテルの名前が同じだったのね。
そしてホントは泊めちゃいけない外国人の私をたった1500ルピーで、こっそりと泊めてくれた。
その部屋はそのホテルでいちばんいい部屋で、私には広すぎるかも。
手持ち無沙汰で、シャワーを浴びてバカみたいに広いベッドで寝た。