リオデジャネイロ 1月7日

9時の船で島を離れるつもりだった。空いてるカフェで食事したくて、朝8時にビュッフェに行った。
昨日から長袖のヒートテック着てる。せっかくの夏の南の島なのにね。
風邪ひいてるの、恥ずかしかった。

新鮮なジュースとバケット、果物とチーズ、コーヒーを最後に飲んで、ぼーっとする。
ハチドリがブーンって音をたてて飛んでった。

部屋で荷造りをする。シャワールームをチェックして、洗面台もキレイにして、最後にタオルやブランケットをたたんでベッドに重ねる。
ホテルを出る時は初めから私なんて居なかったようにして出ていきたい。
窓とドアを全開にして照明を消して受付でお姉さんに鍵を渡した。
お別れの挨拶。
寒くて、頭が痛くて
(長袖着てるの恥ずかしい…風邪って英語でなんて言うんだっけ?)
昨日の夜にツアーバスでリオデジャネイロのホテルまで連れてってくれるって聞いたんだけど
ホテル前はムリだよ
え、そうなの?
リオデジャネイロの街のいくつかのポイントで降ろすコトならできるよ
(確かにそういってたかも)
できればホテルの住所が載ってる予約表をプリントアウトしたいんだけど
ちょっと今忙しいから少し待ってて
うん

少ししてお姉さんは受付から出ていった。
カウンターに入ってホテルの予約表とついでにブエノスアイレス行きの飛行機のEチケットも印刷した。
タイミング悪く客が入ってきて何か話しかけてきた。
ポルトガル語わからんし、私はホテルの人じゃないんだな、コレが。
私は客だし、お姉さん外に行っちゃったよ
あ、そうなんだ、オーケーオーケー

プリントアウトのお礼とスピードボートでコンセイカオまで帰るコトを伝えてホテルを出た。
このホテルの人達は親切でおせっかいで好きだったよ。

ビーチに歩いてく。桟橋にあるカウンターで買おうとしたらストリートで売ってるって。
指さされたツアーのショップでボートのチケットを買った。9:20に島を離れてコンセイカオに向かうチケット。

チケットを持って桟橋に入ろうとすると、ノーノ―って追い出された。
9:20まで入れないみたい。
スピードボートは1番右の列に並ぶ。
すぐ後ろに太った人が並んだ。彼も同じチケットだったけど早く行きたいのか、仕組みが良く分かっていないのかな。何度も桟橋に入ろうとして、係員に戻されて、戻るたびに列の後ろになっていった。

9:30過ぎた。スピードボートは桟橋の先に3台ならんでる。
1番右が埋まったから真ん中のボートに乗ろうとすると、コンセイカオ行きは1番右だって乗り直した。
ボートの1番前、大きな荷物を抱きかかえて小さくなった。
屋根がなくて直射日光がガンガンでつらかった。

 

 

バイバイ、グランデ島、南の島。
ボートは桟橋を離れて、速度をあげて海を走った。これがめちゃめちゃ速くて海面をジャンプするし、叩きつけられた時には海面がコンクリートみたいに固いし、海水がバシャーと顔にかかった。
振り落とされないように手すりをぎゅっと握って正面を見ながら、全身びしょ濡れに、なんか楽しい。風邪ひいてるコトを忘れてた。行きも、島内の移動も、スピードボートにすれば良かったな。
海の上を飛び跳ねていきながら、風を顔に感じながら、ずぶ濡れのまま、あっというまにコンセイカオの桟橋についた。

立ってた人にリオデジャネイロ行きのバスを聞いた。
あっちだよ
そう、ほかの人について行けばイイのね
駐車してる車に乗り込む人もいて、島にいる間は停めっぱなしにしてたのかなって思いながら歩いてった。
リオデジャネイロに通じる大きな道路に出た。
近くにあったツアーカウンターでバスチケットの購入方法を聞いたら、コンクリートで囲まれたバス停を指さした。
行ってみても売ってない。
行きに乗ったのと同じライトグリーンの長距離バスが来るけど、先客でいっぱい。バス停の人達が乗ろうとして断られてる。
チケット持ってないんだろうね。
島でバスチケット買っておけっていうのはこのコトだったのか…乗れなかった人達、また待ってるけど永遠に乗れない気がする。

道路の向こうに小さな路線バスが停まってる。ドライバーに聞いたらイタグイーって街までしかいかないって。
うー、ホテルの予約してるし、リオデジャネイロまでは300kmは離れてるし、どうやって行けばいいんだろ…
コンセイカオじゃなくてアングラ・ドス・レイスに行けばよかったのかも。でも、もう遅いし…タクシーはめっちゃお金かかるし。
またさっきのツアーカウンターに相談した。
カウンターの人達も困って相談してる、親切な人たちだね。
イタグイーまで行けばリオデジャネイロ行きのバスが出てるかも。
さっきの小さな路線バスに乗れってコト…、聞いたコトもない街だけど。
LonlyPlanetにも載ってないし、言葉も通じないのに、変なトコロまで連れて行かれて、知らない街で途方にくれてホテルに泊まってしまいそう。
でも、それでもいっか。
旅は考える前に行動。

道路の向こうに渡って路線バスに乗ると運転手が不機嫌そうに何か言ってきた。
荷物が大きすぎたのかも?
小銭で払うべきだった?
路線バスに乗せるような荷物じゃないもんね。違うこと言ってるのかもしれないけど…
とりあえず不安を乗せたまま走り出したバス。
いつ降りればいいのかもわからない。
イタグイーに着いた後もリオデジャネイロ行きにどうやって行くのかわからなかった。
途中でイタグイーと言ってる黒人のお兄さんが乗ってきたので、あの人と一緒に降りればいいかもね。

しばらくして隣のおじさんが降りるみたい。
イタグイー?
聞いてみると何か言ってるけどポルトガル語わからない。
なんか頷いてるので、運転手にも確認して一緒に降りた、何もない砂埃の舞う小さな村の小屋の前に。

ここがイタグイーか…なるほど…、辺境の村で降りちゃったコトはわかりました。
砂埃のなかでチェスを打ってるおじいちゃんにイタグイーか聞いてみる。
何言ってるかわからない。
コッチが身振り手振りなのにポルトガル語で長々と話す。ブラジル人は前から思ってたけどコミュニケーション下手なんじゃ?
流れる汗を我慢しながら何処までも続く道路を見つめる。
東にリオデジャネイロがあるのは知ってる。時々、無慈悲に通り過ぎていくバス。このまま日が暮れてしまうよ。
それに、この村にはホテルもなさそう。

時折走ってる小さなバンにイタグイーって文字が書かれてる。
アレに乗れば連れて行ってくれるかもしれないし、私でも停めれそう。
あ、来た!
手を挙げて停めてバンに乗り込んだ。
ずいぶん原始的なタクシーでドアは自分で開けて、運転手がロープを引っ張って閉じた。
後で調べてみたら、これブラジルではミニバスって言われてて「ブラジル ミニバス」で検索すればレイプ事件がたくさん出てくる。

しばらくして他の客も乗ってきた。大きな街に入ってからも脇道に入っていって怪しい。
ここがイタグイーなのかしら?
ほかの客がお金も払わず降りていき、それをみたドライバーが舌打ちする。
とりあえず一緒に降りて可哀そうな運転手にお金を払った。とにかくリオデジャネイロの方角に歩き始める、歩くしか思いつかなかったから。
お店でバスターミナルを聞くと、言葉が通じてるか怪しいけどアッチみたい。
仕方ないから重い荷物を引きずって砂埃を上げながら、汗だくになりながら歩いた。病み上がりなのに…
リオデジャネイロまで100kmか200kmか分からないけど、歩いていればいつか着くよね。ところで今はどの街のどこに居るんだろう。

クラクションの音、振り向くと路線バスがドアを開けて目の前に停まった。
運転手が無言で乗れと手招きしてるので乗ると、乗客がいない、営業の終わったバス?
リオデジャネイロに行きたいコトを伝えると黙って肯いてる。
仕事中に会社のバスに黙って乗せてくれるなんて。
日本ではありえない親切に感動しつつ、バスは街の中を走っていく。
しばらくしてバスが止まって運転手が指さした先は小さなバスターミナル。
グラシアス!サンキュー!
あ、ポルトガル語のありがとうって何?
握手してバスを降りた。

目の前のバスがリオデジャネイロ行き。リオデジャネイロの文字も出てないし、としか書かれてないけど。
ほかのバスにはサンパウロとか地名が書かれてるのに。
この街の中心街に行ったりして。
出発したバスは街の中心に向かって走ってった。

ほら~やっぱり違うんだ、こんな街から遥か遠いリオデジャネイロまで路線バスが出てるのがおかしいんだよね。
今日はこの街のホテルを探さなきゃ。
しばらくするとバスは街の中心部をぐるっと回って幹線道路に出て、サンパウロの方角に走り出した。
うわぁ脂汗が流れたけど、Uターンしてリオデジャネイロの方角に向かった。
このバスでよかったんだ…
ガラガラだった車内も混み合って、気付いたら寝てた。

目が覚めたらバスはドコまでも広い幹線道路をまだ走り続けてた。
リオデジャネイロは治安が悪くて銃撃戦まで起きるって聞くし、路線バスや地下鉄は絶対に乗るなとも言われてるし、ドス黒い雰囲気が街を覆っているともいうし。
うーん。そもそも寝てる間に通り過ぎてたり、戻ってたりして。

流れる景色は地平線の大地からぽつんぽつんとした街並みになった。そして落書きだらけで薄汚れたリオデジャネイロを走る、ホントに着くとは思ってなかった。
数千円かかるハズが長距離バス使ってないから500円ぐらいで来れた。

 

 

 

リオデジャネイロは治安が南米随一めっちゃ悪いって聞いてた。
3000円だけ持ってパスポートやカード、現金はバッグの奥にしまった。
部屋に置いて出かける。
ロビーで観光マップをもらっていく。

近くの売店で黒い液体を買って公園に、なんだかコーラみたな飲み物かと思ったら炭酸がないしマズかった。
公園は昼間なのに人が全然いなくて、ペルーやボリビアは人でいっぱいだったのにココはなんか雰囲気が悪い。
出口でおばあちゃんに飲み物をくれと言われたけど断る。

なんか早歩きの人が多いし、値踏みするような上目づかいの視線が多い。
ブラジル人って陽気なんじゃなかったっけ?
疲れたのでカテドラル・プレスビテリアナ教会の中で少しのんびりしてた。
ブラジルは信仰心が薄いのか性格なのか、写真を撮ったりするコトにとても寛容だと思う。

 

 

短い靴下を買って、その場で履き替えた。
少し見た目が良くなって軽くなった気がする。持ってくるの忘れてて気になってたんだよね。

途中でオープンカフェでコーラを飲んだけど会計を呼んでも来ないので、持ってる小銭を20枚ほど使い切って置いていってやった。
振り向かずに歩いていくと向こうに巨大なコンクリートの前衛的な建築物。これはリオデジャネイロのカテドラルで教会。
教会っぽくなくて面白いな。
中はステンドグラスで綺麗らしいけど入り口が遠そうで入らなかった。

 

 

初日として十分に散歩したけど、この街は近代建築でコンクリートむき出し、落書きだらけの殺伐とした街って感じ。
古い町並みが少ないのは日本と同じ。
ホテルに戻って共同洗面所で洗濯して部屋で乾かす。
Tシャツが4時間で乾いた。
40℃を軽く超えてそう、
横になっても汗が出てくるので、何度もシャワーを浴びた。
人の形にベッドに汗の跡ができる。
暑くて寝られないし、窓の外は殺風景だし、イヤホンつける気にならない。
エアコン付きの部屋にして読書したかった。

 

夜になって窓から夜空を見上げたら、コンクリートに覆われた狭い隙間から綺麗な星が見えた。