リラの僧院 4月9日

今日はソフィアからリラの僧院へ。
目が覚めてぼーっとしたアタマで考える。バスターミナルへいかなきゃ。でも、どこにあるんだろ?

バックパックを背負って宿を出た。
ちかくの地下鉄に降りてった。真っ暗くてがらんとしてる。
えっと…バスターミナルはどこだろ?
チケットを買おうかなって調べると地下鉄じゃなくてトラムで行けるみたい。あ…買わなくてよかった。

ソフィアの通りをいくつもぬけていく。キオスクでトラムのチケットを買ってベンチでぼーっとする。
どこかシュールレアリスムの絵みたいなソフィアの街。
早朝は人がいないから、なおさらそうみえるのかも。

 

建物の向こうから姿をあらわしたトラムに乗った。
窓の外にはすこしずつ薄汚れた近代建築が増えてく。
街の中心は古い旧市街、外側は近代建築の新市街。歴史のある古い街はたいていそう。
日本は中心に高層ビルが建ってるけど、それは古い建物がほとんど残っていないから。

通りの向こうにあるバスターミナルへわたる。カウンターでリラの僧院行きを聞くとチケットはバスで払うみたい。
キリル文字読めないんだよね…リラってどんな字なんだろ?
止まってるバスにリラの僧院行き?って聞いたら、周りに人がわらわら集まってきていろいろ教えてくれた。
軽い気持ちで聞いただけなのに…なんだか恥ずかしい。テキトーにおっけーって言ってその場を逃げた。
横のカフェでクリームクロワッサンを朝ごはんに食べた。

 

10:00に来たバスに乗り込むと、すぐに席が埋まってく。
2、3人立ってる人が出てきた。
3時間もかかるのにバスで立つのつらくない?
へーきなのかな?

バスは首都ソフィアを出発。
途中で休憩時間をはさんで、山道を越えてリラの僧院についたころはお昼過ぎてた。

門をくぐると巨大な教会と僧院。
その向こうに綺麗なヨーロッパの山並みが見えた。
おーーって声がでた。

僧院の宿坊には泊まれる。でもホテルじゃないし、巡礼者のための宿坊だし看板とかがあるわけじゃなかった。
泊まり方はあらかじめ調べておいた。

受付は14:00からだから、バックパックをおろして奥のドアの前で座って待ってた。
頭の上の天井のフレスコ画、すごい鮮やか…

 

信者でないと嫌な顔をされるって聞いてたけど…
そんなことなくて真っ黒い服を来たヒゲの修道士はにこやか。
パスポートを見せてサインする。
鍵を渡された。
ファンタジーに出てきそうな拷問部屋みたいな鍵で興奮する。
部屋の番号「25」が書かれたデカイ木のプレートが紐で結ばれてる。

部屋どこだろう?
広すぎてわかんない。近くの受付に部屋の行き方を教えてもらった。

一般人立ち入り禁止のロープをまたいで越えた。
ココから先は、ほかの観光客は入れないんだって思うと優越感を感じた。
部屋の番号を探しながら4階まで上がってく。
鍵のプレートの番号と同じ数字「25」が書かれた古びたドアがあった。
錆びついたドアをガチャガチャして部屋に入る。

すごい…
ここで僧たちが何百年も寝起きしたんだ…ベッドが4つもあるし、1つは個室。
なんかかわいい。

荷物を置いて4階の廊下からリラの僧院を眺めた。
民たちが下をうろうろしてた…
こんなとこに泊まれるなんて、なんかディズニーランドのアトラクションみたいな非現実感があった。

 

僧院の外にある川沿いをあるいてく。木漏れ日が涼しい小道。
そこにあったレストランでお昼ごはんを食べた。ちょっと観光地価格で高いけど。
ここらへんは山の上だからかな?wifiがないみたい。
パンとか買って宿坊で食べたら、もっと美味しかっただろうなって、ぼんやり思った。

僧院に戻ったら塔の上で修道士が5つの鐘を紐で引っ張って順番に鳴らしてた。
ゴーンゴーンゴーンゴーンって鳴り響く、いろんな紐を引っ張って演奏してるみたい。
きっと中世のころから繰り返されてる毎日。
映画やドラマのワンシーンみたい。

中心の教会では暗闇のなか賛美歌が歌われてて、上空のドームから光の帯が落ちてた。
きっとホコリっが舞ってるんだ…
古い木製の椅子に座ってぼんやりする。
キャンドルを買って順番に火を灯してく。
雰囲気のある教会、たぶんそれは僧院がとても閉じた世界だったからかも。

夜になって僧院をびくびくしながら歩き回った。昼間にあれほどいた観光客は誰もいなくなってた。
歩くと木の床がギシギシって音をたてる。
ホントに中世にいるみたいでどきどきする。隠れて悪いことをしてる気持ちになってた。
ここは1000年以上も続く僧院で、今でも修道士たちが修行を続けてる。