ヴァルザネフ 2月2日

明け方の砂漠はすごく寒くて、毛布で身体を包みこんだ。
まだ太陽はみえなくて、でも空は少しづつ青くなってる。

遠く地平線のむこう、小さな太陽が上ってきて、世界が急に明るくなった。
太陽すごい…
あんな小さいのに。これは誰だって太陽は神様って思うよ。

 

イランにあるヴァルザネフ村からすこし離れた砂漠、きのうオーストラリア人と来て一晩すごしてた。

遠くの砂漠にトラックが進んでく。
あんなとこに道路はなさそうなのに…
なんだろうってみてると次から次へとトラックが続いてく。レンガになる砂を集めてるのかな?オーストラリア人が答える。

彼は日本語もすこし話せて、アニメとコミックもくわしい。それにペルシャ語もすこし話せる。
旅先の言葉をとても勉強してから旅をしてた。

たった1回しかない人生を働き続ける日本人はクレイジーだ。

太陽、広がってるよね
それに大きいね

 

昨日のおじさんがクルマで戻ってきた。
いっしょに火を炊いて朝ごはんを作る。
チャイを飲んでスイカを食べて、ゲストハウスへ帰った。

部屋はガラス張りで広くてきれいでめちゃめちゃ気持ちよかった。
シャワーを浴びて絨毯にごろごろしてたら、いつの間にか寝てた。

宿でみんなでランチを食べてたら、ほら、パスポートだよって宿の人に渡される。
すごい。
イスファハンの宿に忘れたパスポート。人から人へ、手で渡されて100km離れた砂漠の村へ戻ってきた。
ありがとうね。
私があんまり感動するものだから、みんな笑ってた。

午後、自転車を借りてすこし離れた遺跡を見に行った。
タイヤ空気はいってない…村のハズレで入れてもらう。
うーん、もっとぱんぱんがよかったンだけど。

西に道路を走ってると大型トラックが横を通り過ぎて砂煙をまきあげる。
そのたびに砂が入らないように息を止めて目を細めた。

 

走ってると小さな村がみえた。なんか音楽が聴こえてくる。
スーツをキメた人たちが真顔で立ってる。
ちょっと怖い雰囲気。
なんだったんだろ、今思うと葬式だったのかもしれない。

となりの街までちいさな裏道を走ってった。
その街には古いカラという城壁があって、いまほとんどの住人はカラの外に住んでる。3人ぐらいしか中にいないみたい。

城壁の中へはいって自転車を停めた。
人の住んでない無人の階段を上がってくと屋上に出た。
土でできた建物。ところどころ崩れ落ちた家。
落ちないよーに気をつけながら屋上から屋上へ乗り移ってく。街で一番高い建物へ。
みえる景色は変わらなかったけど。

 

小さな建物に入るとお婆ちゃんがいて、いわれるままにお祈りさせられる。なんかお金も求められた。
カラに残った3人にうちの1人なのかもしれない。

ほとんど無人のカラをでて外を走ってると子供たちが自転車でついてくる。小さな売店でコーラを買って子供たちといっしょに飲んだ。
イランにはピジョンタワーって建物があちこちにあって、地平線にぽつんと建つそれは、まるで世界の果てみたいだった。鳩が飼われてた、みたい。

 

ヴァルザネフに戻ってピジョンタワーを探して村を一周した。
これかな?入り口鍵で閉まってる…

入り口をうろうろしてると村の人が来て、あー閉まってるねーって。
係の人を呼ぼうか?ん、別にいいよ。

 

夜は村にひとつしかない食堂、はいるとお客さんは私ひとり。
絨毯の上にすわって絨毯の上に食べ物をならべる。
伝統的なイラン料理アーブグーシュ。焼けた石焼の器に入った鶏肉や野菜をスープといっしょに金属の棒でつぶして食べる。

なんで潰すんだろう…潰さない方がおいしそう。

食べてるとやってきたイラン人の家族と仲良くなって写真を撮った。