七つの湖 4月11日
今泊まってるホテルは朝食付き、レストランで頼んだヨーグルトのセットは味が濃くて朝は少しつらかった。
部屋に戻って洗濯をたたんだあと、ルートを相談。
リラの七つの湖は山の上にある絶景ポイントらしいんだけど、ふもとの街サパレヴァ・バーニャからリフトまでの交通手段がない。地球の歩き方には人が集まると旅行会社がバスを出すかもってだけ書かれてる。
ホテルのカウンターでサパレヴァ・バーニャまでのバスターミナルをきいて出発。
ブルガリアの田舎街をてくてく。
20分後、ホテルに言われた場所にバスターミナルはなくて団地があった。
どこがバスターミナルだよぅ。
コンビニでミネラルウォーターを買って場所を聞いてもわからなくて、外に立ってるおばさんに聞いたら、あっちだって。そっちの方角に歩いてくと後ろからタクシーに声をかけられた。
見るとさっき教えてくれたおばさんが乗ってる。助手席には知らないおじさん。
サパレヴァ・バーニャまで一緒に乗せてくれるみたい。きっとおばさんがタクシーの運転手に伝えてくれたんだろな。タクシー代が心配だけど親切がうれしくて乗せてもらった。
タクシーはドゥプニッツァを出て郊外を走ってく。
運転手はゴツイおっさんでロックフェスやるよとかACDC出るよとか言ってる。少し英語が話せるみたい。
七つの湖まで行きたいって行ったらリフトまでだと10ユーロって言われた、少し考えて、まあいっかってなった。
いっしょに乗ってたおばさんとおじさんは途中で降りて、おっさんに助手席に来いって手まねきされて席を変える。運転手はおっさんだと思ってたけど子供が2人いて、子供たちにも子供が4人と3人いるみたい。息子はアメリカにいるそう。
へー、7人のおじいちゃんなんだ。奥さんは4年前に死んだそう。自分も20代のころは世界中を旅したって、かたことの英語でいろんな国を教えてくれた。オランダ、ユーゴスラビア、イタリア…
もしかしたら移民なのかもしれない、自分の国がないって感覚は悪いことだけでないのかもしれないって思った。うまく言えないけどこのおじいちゃんは走ってる間も地元の友達と手を振りあってて幸せそうにみえた。
狭い山道をタクシーは登ってリフトについて握手してばいばい、めちゃめちゃでかくて柔らかい手だった。
リフトの動きだす12:30まで芝部にゴロゴロして待って、往復チケットを買って乗り込む。
日差しが強くて帽子をかぶろうとバッグを探しても帽子が見つからない。えー、ホテルに忘れた?!高かったのにー!日焼け止めを厚塗りしてジリジリと焼いてくる太陽に耐える。
30分近くも乗ってたリフトを降りるともう山の上で鮮やかな草原と美しい山並み。
日本じゃ見れない絶景を前にしてるのに、何故か身体が重い。重いバックパックを担いで歩き始めた。
七つの湖って山の上から七つ全部みえるみたいだけど…ひとつひとつその大きさにびっくり!小さな池みたいなの想像してたらホントに湖だった。汗だくになって丘を越えて2つ目の湖の手前に小さく小屋がみえた。あー遠いなー、立派だなー!
今日はあの山小屋に泊まろう…めっちゃ調子わるいし。
川を越えて、湖の横を通過して、2時間後に山小屋へ到着。
この調子の悪さ、もしかして高山病でわ?言葉の少ないおじいちゃんが通してくれたベッドがならんだ部屋は汚いし、1階で他の人がくるかもって気になる。
2階のさらに汚い屋根裏部屋に移動した。ベッドがたくさん並んでる、きっと冬はスキー客がいっぱい来るんだろうな。なんだか屋根裏部屋って落ち着く、小さな小窓から見える澄んだ青空が雰囲気ある。
お腹へったって山小屋のおじいちゃんに言ったら豆のスープを作ってくれた。
たべてベッドに横になった、とにかく怠くて横になりたい。
目が覚めて夕方6時でも昼のような明るさ。
外にでて景色を眺めてぼんやりする。
歩くのも身体が重くて山小屋の近くを散歩だけした。なんか食べたいなと思ったけど小屋のおじいちゃんが寝てるっぽい。今日の客は私だけみたい。
バックパックのなかの乾いてないカーディガンを山小屋のシーツといっしょに並べてかわかした。
メラトニンを飲んで目が覚めたら深夜。
星空を見に小屋の外へ。
あーーーすごい…満天の星空。
小さな星がびっしりと空を埋めてて天の河には青い色がついてる。今、この山には私しかいないんだろうな。寒さでがたがた震えながら、部屋に戻るのもったいなくて、ずっと夜空を見上げてた。