ウルムチ 12月25日
中国の長安からシリアのアンティオキアを結んだ道はシルクロードって呼ばれてて、陸路で横断することをフルシルクっていうみたい。
フルシルク…フルシルク…とても白い響きがする。
中央アジアはいつか行けたらなと思ってた。
ちょうど半年かけて2ヵ月の時間と30万円の資金を貯めることができた。
それでも時間とお金がフルシルクには足りない気がした。だから、すこし進んだキルギスから始めて西へ、2ヶ月で行けるところまで行こうと思った。
成都空港に着いたときはもう夜中になってた。
飛行機の窓からみえる街は暗くて、空港から出ないで朝まで寝てようと思った。
がらんとして灯りの消えた暗くて広い空港。
ドームは5階ぐらいあって、ときどき遠くから音が聞こえる。
できたらチェックインして搭乗ゲートで休みたかったんだけどな。
まだカウンターは開いてないし、セルフチェックインしようとしても機械がパスポートを読み込んでくれなかった。
バックパックをベンチに置いて枕にした。
横になると高いドームの天井の暗がりに鉄骨がみえる。
中国元を持ってないから何も買えない。でもたいていの空港には冷水器があるし、ご飯は機内食があるからお金を使わなくても快適だった。
何度目かのセルフチェックイン、チャレンジ。
機械にパスポートのバーコード部分を読ませてみたらチェックインできた。
でも深夜だからかゲートが開いてなくて、けっきょくベンチでごろごろしてた。
気がついたらすこし寝てたみたい。
国内線の手荷物チェックに人が並んでた。
列に並んで搭乗ゲートへ。
広くて古い空港…けっこう歩くなぁ…
道を間違えたあとにたどり着いた搭乗ゲートは早朝なのに混んでた。
空港の薄暗い蛍光灯の灯りがひもじい。
すこし離れたベンチで搭乗時間まで寝てた。
成都からウルムチへの飛行機の窓の外。
どこまでも続く砂漠。
砂漠の上にまっすぐ線が引かれてて、アレは道路?それにしては狭いけど…人工物なの?
ウルムチの空港に着いたら寒くてうれしい。
空港のトイレで長袖に着替えた。
東京と気候が違いすぎて遠い外国に来たんだって肌で感じた。
国際線ターミナルはすこし離れたビル。
遠くにみえたから道路を歩いていったら感じてたよりずっと離れてた。
ビシュケクまでの乗り換えの飛行機まで12時間もある。
せっかくだし100元だけ下ろしてウルムチの街へ向かうことに。
空港を出て街の中心までのバス探した。
駐車場の向こう、ホテルの横に小さなバスターミナル。
ウルムチはイスラム教の人が多くて人種も沿岸と違って彫が深くて浅黒いなって思う。
バスに乗ろうとしたら運賃はたった1元(17円ぐらい)で100元だとお釣りがないみたい。そしたらバスターミナルにいたおばさんがバス代を払ってくれた。
乗せようとしなかった運転手はムカつくけど、係のおばさんにありがとう。
ウルムチの中心目指して永遠に走るバス、ずっと続く低い建物、変わらない薄茶色の殺風景な景色。
街の中心はどこなんだろ?
ウルムチに中心街なんてあるのかな?ずっとこのままの景色なのかもしれない?
耐えられなくなって、どこに向かってるかわからないバスをテキトーに降りた。
どうしようか…周りになにもないし。
せっかくだし、中国でおいしいのを食べていきたい。
道路を渡って小さな食堂に。
言葉も通じないしメニューみてもわからないから、壁のメニューを指さして頼んだ。
お店のお兄さんがヤカンから暖かい白湯を注いでくれる。寒かったからすごくうれしかった。
ありあまる時間をもてあましてカフェ探して歩く。中国の街は1ブロックが広くて歩いてて疲れてしまう。
ぐるっと歩いてると街の雰囲気に似合わない小さなカフェへをみつけた。
コーヒー美味しい。
バスで空港に戻った。
途中の道路には中国愛国のポスターが並んでる。
こういうのすごくイヤ。同調圧力、気持ちの押しつけ。
中国だけじゃない、今の日本にも同じ空気を感じる。
出発まで空港で人気のない下の階のベンチでごろごろ。
100元はほとんど使わないで余りそう。キルギスで両替できればイイんだけど。
すこし風邪気味だったし食堂でムリに食べた。
永遠に引き延ばされたような退屈なウルムチを出て、キルギスの首都ビシュケクについたのは深夜の2時。
もうバスは走ってない時間だよね。
深夜のビシュケクタクシー、運転手さんにキルギスのあいさつを教えてもらった。
こんにちははサラム、ありがとうはラフマト…
あいさつをすぐに返せるようになるまでは時間がかかるから、忘れないように手の甲に書いた。
タクシーは誰もいない真っ暗な通りをまっすぐ走ってく。
タクシーに連れてこられた安宿は工事中?みたいな建物のホテル。
Wifiか通じないのはいいとして、部屋にはハエがめちゃめちゃ飛び交ってた。
この宿にはいれないな…明日はまず宿をさがさなきゃだ。
旅の最初。
東京をでて2日後、やっとキルギスに着いたばかり。