ギルギット 12月28日

タクシーをチャーターしてカラコルムハイウェイを走ってもらうことにした。
1日走り回って3000円くらい。
大きな出費だからすこし悩んだけども、こんなとこに来れることはないと思ったから。
でも今はスマホの充電がしたい。部屋にコンセントはなかったから。
氷点下8℃の朝、宿の中庭を毛布をかぶってうろうろしてた。
これだけ寒いとバッテリはすぐなくなる。それにパキスタンでは停電が頻繁にあるから。

朝の9時にタクシーはキルギットの街を離れた。
すこし離れた崖の上から街を見わたした。
白い煙が街を覆ってた。なんだろう、みんな朝ごはんを作ってて、湯気が出てるの?

道は舗装されてる。来るときは舗装されてなかったから中国との国境間が舗装されてるのかもしれない。
周りに見える山はどれも標高6000mを越えてるんだって。
道はまっすぐ続いてた。
この先に桃源郷って言われてるフンザがあった。
タクシーは山をぐるぐると登って峠で停まった。きっと景色のよいフンザでいちばん高い場所だと思ってたけど、村はもっと高いクルマが入れない先まで続いてた。
フンザの村の人たちは旅行者に慣れていたけども、お金にあまり興味がないのかな?のんびりしてて気持ちに余裕がありそう。
これはエメラルドの原石だよ
え、150円なの?
今は夏じゃないから安くあげるよ
お土産に2つ買った。

子供たちの目が青くて肌も白い。
パキスタン北部は欧米の血が混じってるのかもしれない。みんな顔がとても整っててかわいい。
ひとりのコの靴紐がほどけてたから結び直してあげた。
もっと北のアフガニスタンは東洋人の顔立ちが多いんだって。
少年たちはクリケットをして小道を走り回る。子供たちは何処までも私についてくる。
なんで夏にこなかったの?もっと緑が綺麗で温かいのに、何度もそう言われる。
村の池はのぞき込んだら寒さでガチガチに凍ってる。都会の人がここでのんびり過ごしたいのもわかるよ。
でも、今はタクシーを待たせてるから。
歩いてたらちいさなお店でお爺ちゃんがルビーの原石をくれた。お孫さん?めちゃめちゃかわいいね。

国境の近くアタワ湖。
緑1つない岩山に囲まれた青白い水は美しい工業排水みたい。
魚はいるの?
いないよ
こんなに広いのに?
いないよ
きっとホントはいると思う。こんなに広いんだから。

ドライバーの人が5時になるとゲートが閉まるって焦ってた。
こんな長い時間ありがとうね。ごめんね。
ギルギットにもどって、すこし多めに渡した。

近くの食堂はいつも人でいっぱいで騒がしい。
奮発してラム肉のカレーにした。といっても200円だけども。
騒がしい雑音を聞きながら、チャイで手を暖める。

夜、宿の人たちと部屋でハシシを吸った。
なんでスマホを布団の下に隠すの?誰も取らないよ?
知ってる、寒いとバッテリーがすぐなくなるから

ケラケラと遠くから聞こえる下品な笑い声。それを冷静に聞いてる自分。
なんだろ?あ、私の声?
自分が遠く離れてケラケラと笑ってた。
なんだ恥ずかしいよ…そんなへんな笑い方しないよ。
でも自分はココにいて、遠く離れた自分はコントロールできなかった。