スコータイ 7月4日
スコータイ遺跡にはスクーターで行くのがいいみたい。
国際免許持ってないよって言ったら、旅行者はチェックしないから大丈夫だって。
宿の人もチェックしないみたいだねって言ってる。バイク…生きてて1回も乗ったコトない、だから乗ってみたいけど…やっぱり自転車かな。
11時ぐらいに部屋を出たら隣の部屋の人がちょうど遺跡から戻ってきた。
昨日の夜中にスコータイに着いて暑くなる前に自転車で見てきたそう。この時間からは暑いからスクーターの方が楽だろうって言ってる。
どうしよう…バイク乗ってみたい…遺跡の周り走りまわってみたい。
宿の人に聞くと貸してくれるそう。よし、乗ってみる。
スクーターを表の小道に出そうとする…
重!倒れたら持ち上げられないんじゃない?
脂汗を流してたら隣の部屋の人が出てきて代わりに出してくれた。そのまま運転方法を教えてもらう。
なるほど…簡単そう。
出発しようとすると、宿の人が前の田んぼに落ちないでねだって。
この前のお客さんは目の前で田んぼに突っ込んだんだって。
アクセル回して出発。
コレがバイク…走り出して笑ってしまう、気持ちいいし、簡単だし。
間違えて遺跡と逆の方角に行ってしまって、Uターンした。
遺跡は町から15km離れているって?
南国の広い道をビュンビュン走る。
ガソリン少ないな…なんとかなる?まっすぐでいいの?もう、どこかで曲がるとか?もう15km走った気がする。
しばらく走るとスコータイの標識がみえた。さらに走って行くと左手にそれっぽい建物と地図。
ココなのかな?世界的に有名な遺跡だし、もっと立派な入り口な気がするけど。
もっと走るとチケット売り場と巨大なゲート。
あーココだ!
110バーツのチケットを購入して、無免許なのをビクビクしながらゲートを越えるとホントにノーチェックだった。
スコータイ遺跡は城壁に囲まれてて、さらに堀というか池で囲まれてた。
このチケットは1番安いチケットなので中心の地域しか観れないのかな?
それでもすごく広かった。
スクーターで走って、気になった遺跡で降りてみる。
その遺跡たちは巨大で時間を感じた。
公園の空気感もすごくのどかだし、芝生でゴロゴロしてる人もいるし。
タイ人の男のコに声をかけられた。詐欺かと身構えたけど、日本語の勉強をしてるみたいで、いろいろと考えながら日本語で質問してくる。日本語で返すとしばらく考えてる。
30分ぐらい日本語で話してた、もうそろそろ別の遺跡もみたいし…
分かれてまたスクーターに乗った。走りまわって遺跡を撮ってまわった。
軽く走りまわって最初の遺跡の前の露店でお昼ごはん。メニューにペプシがあったので頼んでみたら、上手く通じなくてファンタやミネラルウォーターを持ってきてふたりで笑った。
相手も笑って自分で持っていってよと冷蔵庫を指差すので見たらペプシなんてなかった。
だから、コーラを取り出した。
ガイドマップを見てた。城壁の北の遺跡に行ってみたいな。
また周りをぐるぐる走り回って西の出口から出ようとすると係りの人に止められた。
なんでだろう?安いチケットだったから走れる場所も限定されてるのかな?
チケット買う時にバイクチケットみたいなのも買ってた。
でも、英語もよく通じない日本人って感じで通してくれる。
スクーターで走ってるのが気持ちよくて降りないで走り続けた。
周りをみると広い平地を走ってた。
まだココはスコータイ遺跡の中?
地平線の彼方まで続く荒地、ときおり民家もみえるし…
道路標識に洞窟のイラストとcaveの文字。
洞窟…
行ってみたいけど、どのくらい遠いんだろ?
この道も戻らなきゃいけないし、ガソリンも切れそうだし、戻ったほうがよさそう。
引き返して大きな遺跡をぐるーって周った後に、小さな遺跡に入ろうとしたら断られた。やっぱりチケット買わなきゃいけないみたい。
買い戻るのも面倒なので遺跡の前の露店でアイスクリームを買って木陰の芝生に座って食べる。
あっつい…
どこまでも続く平原。
アイスが手に溶けてベタベタするのでウェットティッシュで拭いた。
最初の遺跡に戻って木陰で横になってたら黄色のアリに襲われた。アイスが着いたからかな?それとも敵って思ったの?
虫よけスプレーを身体に塗るけどアリたちは寄ってくる。
もう帰ろうかな?
露店でレモンスムージーを飲みながらぼーっとする。
ほかにお客さんもいない、何処までものどかだね、スコータイは。
遺跡を出て日焼け止めを塗り直した。今日1日でとても灼けた気がする。
帰りにガソリンを入れる、最低料金が50バーツ。
入れるんだったら初めに入れとけばよかった、そうすれば走ってて不安なんてなかったのにね。
宿に戻ってスクーターを返して、今日ここを発つことを伝えた。
50km離れてるもう1つの遺跡も行ってみたらよかったかもしれないけど。たった一泊か…スコータイはとても居心地がよかったから、もっとゆっくりしてもよかったかもしれない。
隣の部屋の人と外でいろいろ話してた。
これから北の三角地帯にいくよ
ジャングルの奥地なんて電気通ってるの?
昔よりタイもきれいになったよ
南アフリカの白人は性格に問題ある
面白い話をいろいろと教えてくれた。ずっと話してたら、気づいたら西日が差し込んできてた。
もう行かなきゃ。
宿の人にオススメの南の島をきくとタオ島はよかったって聞くよ。
じゃあタオ島にする!
これから南に1000km南下しなきゃいけない。
宿の子供たちとも、さよなら、またね。スコータイに来たらまた来るね。
バスターミナルまで郊外の広い道路をサンダルで歩いていく。乾燥してて砂埃が舞い上がってた。
昨日のトゥクトゥクのおじさんに会うとバンコク行きのカウンターまで連れてってくれる。
なんと、お金が足りない。
バンコクまで250バーツで、バンコクからタオ島に渡るまでのバスがVIPバスで高くて750バーツ、合わせて1000バーツ。
こんな田舎、両替も近くにないし…
ターミナルの外の露店でやる気のない男のコが作ってくれる麺を汗かきながらすすって途方にくれてた。
とにかくバンコクまで戻ろうかな?バンコクに戻れば南に向かうバス会社はいっぱいあるはずだし、VIPなんて豪華なバスじゃなくていいし、安いから買えるし。
カウンターに戻ってバンコクまでのチケットを買った。夜の8時出発、到着は明け方になりそう。
あまり広くないターミナルのベンチに座って2時間待ってた。
バッグの中をみてたら心当たりのないカギが出てくる。
ん?なんだっけこれ…
アレ?コレって宿のドアの南京錠のカギ!
間違えて持ってきちゃったよ…どうしよう…
日も落ちてるし。今から戻って返す?あの距離を歩く?トゥクトゥク借りて戻る?気づかないフリするとか?
あ、トゥクトゥクのおじさんに渡せばいいか。
近くにまだいたおじさんに部屋のカギを見せると驚いた顔をした後に宿にTELして確認してくれた…
オッケーだって、後で返しとくって。ありがとう、いつも。
静かな田舎の夕方のターミナル。
トイレや裏手でこっそりiPhoneを充電したり、欧米人旅行者に話しかけられたり。でも夜の8時を過ぎてもバスは来ない。
30分ほど遅れて夜道をライトで照らしながらバンコク行きのバスが来た。
チケットを見せて乗車、ガラガラの真っ暗な車内の1番左後ろの席に座った。
なんか、寒い…今度はエアコンがキツくて寒い…
ブランケットをかぶりながら窓の外の風景を眺めてた。
今までは明るい風景がみたくて昼のバスに乗ってきたけど、夜の風景もすごくいいな…
知らない街の街灯や露店、照らされる異国の看板、誰もいないコンクリートの街、モノトーンの夜。
その街の生活の一部を切り取って、こっそり眺めてるような感覚…
凍えるエアコンの吹き出し口をウェットティッシュで塞ぎながら、バスの振動に身をゆだねながら、誰もいない車内で身体を丸くして横になった。