グランデ島 1月4日

今いる港町の海の向こうに浮かぶグランデ島。
ここからじゃ見えないけど。
この港町アングラ・ドス・レイスから船で行くことができる。

宿を出て坂道を下りてった。海沿いを昨日のバスターミナルまで歩くと、短い橋を渡って桟橋に着いた。

 

ここがボートのチケット売り場?
グランデ島に行くボートのチケットが欲しいんだけど
ここじゃない、橋の向こうの港で売ってるよ
え?ここって聞いたんだけど
そっちに歩いて20分ぐらいだね
今、そっちから歩いてきたんだけど…

歩いてもどろうとしたら、帰り際に引き留められて紙に何か書いて渡された。
ポルトガル語?
読めないけど、チケット売ってる場所の名前みたい。
ありがとう、チャオ
この2週間でスペイン語の挨拶は反射で出るようになってた。だけど、ここはブラジル、ブラジルはポルトガル語だった。

ちょっとした人の親切に感動するし、この旅では親切にされることが多くて気持ちが溶けていく。
南米の旅は言葉の通じない国しかないし、言葉が不自由だし、キョロキョロしてて頼りないんだろうね。あと、アジア人が珍しいのかもしれない。

来た道を歩いてく。
それっぽい場所でサングラスのおじさんに紙を見せた。もう少し先みたい。
その公園みたいなスペースには小さなステージが組まれてて、誰もいないステージに音楽が流れてた。
今日は何かあるのかも。

桟橋のある小さな建物でグランデ島へのチケットが買えた。
桟橋に行こうとすると止められた。あと20分後に開くみたい。
売り子からミネラルウォーターを買って飲んだ。
船の客が多いしLonlyPlanetに載ってた1日数本しか船がないというのは間違いみたい。バスが頻繁にくるわけだし。
ホントは昨日、きっと島に行けたんだ。

時間が来て桟橋の行列に並んで、純白の綺麗なボートに乗る。
小型の帆船みたいだけど、帆は張ってなかった。
船はグランデ島へ走り出す。
遠ざかるアングラ・ドス・レイスの街並みを眺めながら、風を受けて、ほかの客の楽しげな雰囲気を感じる。

向こうに島と貼りついたような小さな村が見えた。
そういえばどんな島なのかまるで知らないよね。車が通っていないとか楽園とか書いてあったけど。
なんとなくホテルが高そうだったけどホテル空いてるのかな?

船から見えた村はアブラオ村。島にほかに村はないみたい。
ビーチから伸びた桟橋に着いた。ボートを降りてビーチを歩いた。
砂の感触。
ビーチの向こうは山になってて小さな家たちが貼りついてた。

ホテルを探さなきゃ。

みんなリラックスしてて楽しそう。早くこの重い荷物を放り投げてだらしなくなりたい。
バックパッカーぽい人にこっそりついて行った。
その人が吸い込まれた宿はフルだった。
予約してないとダメみたいでブッキングコムって印刷した紙をその人は持ってた。
ウユニでも聞いたな、ブッキングコム、ホテルの予約サイトかしら。
何件目かのホテルは空いていたけど、240レアル(1万2千円)もした。
うーん。
安いホテルを聞くとビーチの東にあるって。

 

汗だくになりながら重い荷物を引きずってビーチを歩いた。
早く着替えて泳いでだらだらしたいんだけど…周りがだらだらしてるのに。
ビーチの東を越えたトコにある宿はバックパッカー向けでドミトリーが4000円もする。
高いけど、もうそれでもいいです。
え、フル…?
空いてるホテルを聞くと村の中心のホテルなら240レアルするけどって。
うん、そのホテルから来たんだよ
丘の上の方のホテルなら空いてて安いかも、村を通って丘を上る階段を上った。
カラフルな建物、ココはホテル?
黒人2人が働いていて、フルだよって。

電話して別のホテルを探してくれる。
空いてるそう、電話を渡される。
英語だけど早口でよく分からなかった。身振り手振りも相手の表情も見えないと英語ってこんなに話しづらかったんだ…
よく分からないまま電話を返すと240レアルで4泊できるって黒人が教えてくれた。
丁寧に積んであったホテルカードも渡してくれた。
なんだ関係者だった、さっきと同じホテルだし。坂道を降りて左、教会の向こうを右って念を押された。

来た階段を下りてった。そのホテルに向かいながら他のホテルを探す。村のメインストリートを歩いた。
少し歩いて右手にあるグリーンホテル。
入ったら黒人のおばさんが170レアル。眼つきが何かねっとりしてる。
8000円?高いけどもうココでいいかも

部屋を見せてくれるので着いていく、シーって静かに。ん、何?
部屋の中は真っ暗で2段ベッドが2つ。
ベッドからもぞもぞと人が顔を出した。ひぃ、ドミトリー。しかもこんな時間まで寝てる人がいる。
寝てる気怠いデカい白人と目があったの忘れられない。あの人は病気なの?

部屋をでて怒ってしまった。
ドミトリーで8000円って?何それ?
7500円でいいよ
絶対ヤダ!

ホテルを飛び出して歩いた。
左手に狭い通りがあったので入っていくとホテルらしい入り口。

 

 

受付で聞くとホテルだった。
細い黒人のお姉さん、英語が分かりやすいし。ブラジルの女の人って太ってる人ばかりだったから。
200レアルで朝食付き、1万円もするけど…ここにした。

部屋の掃除が終わるまで受付でしばらく待ってた。
外の光と風がよく入ってきて風通しのいい宿だし、こういう手作り感のある雰囲気が好き。
連れて行かれた部屋は受付のすぐ隣でダブルで清潔でいい感じなのでココに決めた。とりあえず3泊、高いから4泊するかは後で決める。

部屋でシャワーを浴びて、すぐに水着に着替えて、Tシャツを着て海へ歩いた。
すごい解放感、なんとなく早歩きになる。
道の向こうに大西洋が見えた。

ビーチに着いて少し泳いだ。周りを見ると家族が多いし泳いでる人も少なかった。
ここは船も多いし、みんなもっと別のビーチに行ってるのかも。
砂浜に並ぶレストランでブルーハワイ頼んでみようかと思ったけど1000円ぐらいしたからやめた。
この島はなんでも高すぎるよ。

近くにビーチある?
まっすぐ行って右に行ったジャングルの先にあるよ

行ってみようか?
もうすぐ4時だけど。
歩いてるとツンとする香がした。今回の旅行で初めてマリファナをみた気がする。
ジャングルに入った。しばらく進むと登り道になった。
山を一つ越えていくみたいで、キツイ。Tシャツも脱いだ。
サンダルが足にあってなくて痛い。
はだしになろうか?なんとなく地面の土の感じが気持ち悪くてはだしはムリだった。でも、はだしの人は結構いたけど。

山の上から村が見えた。隣のカップルが綺麗だねっていうけど、そう?
あと30分でつくよーとか戻ってくる人に勇気づけられながらトロトロと歩いた。
サンダルで足の皮が擦り剝けてしまってた。
イテ、イテって感じで1歩1歩進んでく。
波の音、木の向こうに広い空。やっとビーチに着いたよ。
パルマスってビーチで若い人が多くて安心する。波は穏やかで透明ってほどでもないけど、砂もキレイだし。

 

 

泳いだり、潜ったり。ときどき休んでぼんやり海の向こうをみてた。そしてまた泳いで…
海水が耳に入る感覚。
波をかぶってつい笑ってしまう。
海に立ったまま大西洋を見る。時々波をぴょんと飛び越えた。

気付いたら2時間も経ってた。

暗くなる前に戻った方がいいかもね。南米は8時過ぎまで明るいけど、足いたいから歩くの遅かったから。

ジャングルの道に歩いてたら海にボートタクシーってのが浮いてて客が何人か乗ってた。
あれに乗れば楽に戻れるかも、でも今さら乗れるのかな…

ゆっくり歩いてると横を早足で通り抜ける人達。
ミネラルウォーターをぐいぐい飲まされたりしながら、擦り切れた足にイテイテ言いながら、1時間以上かけてなんとかアブラオ村に帰れた。

もう夜だしレストランで食べてく?でもブラジル料理がなくて食べたい気持ちにならなかった。

そういえばスーパーがあった気がする。
3日分の紙パックのジュースと1番安い液体洗剤、クッキーを買って帰った。

石鹸がこのホテルはないみたい、まあいいか。
シャワーを浴びて、洗濯した。
ばんそうこうを足に貼って明日に備えた。

本を読みながらクッキーを食べた。
雨音が聞こえてくる。南の島の雨は重いなって思う。
遠くで雷の音、雨が強くなる。
近くにバーン!って大きな音。落雷?照明が点いたり消えたり、点くたびに外のカフェから小さな歓声が聞こえてくる。
外に出てみると、また停電?南米も停電が多いね。

本は読めなくなった。
南の島でひとりで夜を過ごす。