ダラス 12月11日

悲しき熱帯、麻薬書簡…
やっぱり置いてなくてAmazonで買っておけばよかったって思う。
南米に行くって伝えたら、持っていきなよって言われた本がいくつかあった。空港の本屋で探したんだけど見つからない。
離陸のとき、飛行機の窓の外は雨がふってた。

 

灰色の窓をみてたら、窓を閉めてって隣の人に言われた。
まだ昼なのに?
周りの人たちも閉めてるから自分も正しいって感じだった。
そんなの関係ないのに?

 

 

眼下の広大な空港には雨が降ってた。
ディストピアの映画にでてきそうなそれはコンクリートの幾何学的な地上絵みたい。
そのダラス国際空港はA~Eまでのターミナルと39のゲートがあって、無音で走る無人電車がターミナルを結んでる。無機的な色のない都市みたい。

日本からペルーのリマに行くには北米で乗り換えなくちゃいけなかった。
窓の外の世界は殺風景な灰色。乗り換えの待ち時間は9時間もあったけども街までいく気になれなかった。

 

アメリカ入国審査は簡単だったけど、人間はステンレスの精肉工場にならんだ行儀がよくて清潔な豚みたい。

ずっと続くニンゲンの行列。
無慈悲な機械たちに無抵抗なニンゲンたちが精査されていく…みたいな感じ

機械にいわれるままにESTAの番号を打ち込んだ
機械にいわれるままに指紋を押しあてた
機械が全身をスキャンする

 

お掃除してた黒人のおばさんに時間を聞いて時計を調整した。
ぶっきらぼうに返事がくる。
人間もいるんだ。

 

ディスプレイのリマの文字。
目的の39番ゲートは一番奥にあってさびしかった。
アメリカから南米に行く人たち、ほとんどは家に帰る労働者なのかもしれない。
みんな、どこか疲れてる気がする。

並んで搭乗した。シートは5列で窓際じゃなかったけど。
上の荷物入れがパンパン。よこのおばさんが閉まらないコトを気にしてる。
ちいさな子供の兄妹が席が離ればなれになってた。
ねえ、君たちいっしょに座りたい?席?交換する?

 

南米のリマ。
飛行機で2日も飛んできた。
着いたのは夜中の2時ぐらい。タクシーつかうしかなさそう。
空港内のタクシーカウンターは高いって聞いてたから、外で声かけてきた人に話した。

ねえ、ミラ・フローレスの20ドル以下の宿まで連れてって

 

生温かい風の中でタクシーの窓を空けた。
タクシーは夜のペルーを走ってく。見上げるとヤシの木の間を走ってた。
うれしくて声をあげた。深夜のペルーはもう真っ暗。

タクシーの運転手が宿を探してくれる。
深夜だから閉まってたりしてる。やっと3件目に空いてるホテルを25ドルでみつけてくれた。
ちょっと高いけど、しかたないよね。
それにさ、タクシーの運転手さん宿の値段まで聞いてくれて親切だったんだよ。

 

ペルーのリマって何があるの?
よくわからないまま日本を飛び出してきたけど。旅の初めだし4泊することにした。
ホテルの人も英語通じないけど深夜なのに怒られなかった。

地球の反対側の南米ペルー。
はじめての長期の海外旅で興奮してた。もうめちゃめちゃに疲れてた。
ベッドに横になって天井をみた。