イグアス 12月31日
ボリビア、サンタクルスの空港の出発ロビー。ウトウトを繰り返しながら目が覚めたりしてた。
窓の外は薄く明るくなってきてる。
広くて誰もいない空港は好き。
飛行機にのれないまま、ベンチで寝てたら明け方になってた。
夜中の1時にDepatureだった飛行機は遅れててDELAYの文字が灯ってた。
朝の5時になってもゲートには係員の姿もない。
べつに、ずっと来なくてもいいんだけど…
6時を過ぎてゲートに人が集まってきた。今頃来るなんてどうやって飛行機の遅延を知ったんだろ?
人が集まってくる。
ひとりで快適だった寂しい夜の空間が壊れていく。
イグアスの滝に向かってのフライト。飛行機はまるで車のように滑走路を走ってった。
そのままカーブを加速。横転しそう。
ジャングルの草原の上に無造作に並ぶ旅客機。なんかボリビアっぽいな。飛行機は1度も止まらないで、そのまま離陸した。
2時間後にブエノスアイレスのエセイサ空港に到着。ここでイグアスへの飛行機に乗り換える。
飛行機から降りたら私の名前を大声で呼ぶ人がいた。
何?なんで私の名前を?
その人はアルゼンチン航空の人で着いてこいという。他にもパラグアイから来た3人もいっしょだった。
アルゼンチンの入国審査も行列しないで通過させてくれる。
イグアスまでのフライトはエセイサ空港じゃなくて、同じ市内のニューベリー空港からだった。
そのニューベリー空港までのバスに乗せてくれるみたい。
確かにエセイサ空港は広かったし、聞いてなんとかしようとしてた認識は甘かったかも。
この人私ばかりの話しかけてくる。
きっと心配なんだろうな。言葉の不自由な日本人って感じで。
真面目そうな人だけど背が高すぎ?
空港を出て乗せられたのはバスじゃなくてタクシーだった。2台に分けての乗車する。
タクシーの運転手とパラグアイの人はずっと話してる。
マチュピチュがどうとか?スペイン語だから分からなかった。
不意に彼らの会話が途切れた。
ん?
あ、タクシーの運転手が私に話しかけたんだ…それに気がつかないなんて…
なんとなく気まずい。
無視されたと思ったのか、なんとなく不機嫌そうにみえる。
やってしまった感。あー早く着いてよ。
そのまま気づかないフリ。
外は雨、いつの間にか大西洋岸をタクシーは走ってた。
灰色の海を見てたら、旅の終着駅ブエノスアイレスを先に見てしまったことに気がついた。
この旅にも終わりがあるんだ…
気持ちに大きな壁みたいな圧迫感ができた。
空港に着いてすぐに出発ロビーにいった。
イグアス行きは40分遅れ。っていうコトは12時にちょうど日本に年賀状出せるね。
急いでHardRockカフェでWifiに繋ごうとしたけどWifiがなかった。店員に確認すると出発ロビーではWifiは繋がらないんだって。
1階にネットカフェあったけど…もう手荷物検査受けてるし…頼めば戻れるかな?
うー急いで通過しなければ良かった…
iPhoneの画面に表示されてるprivateWifiってのに繋げてみる。
あれ?繋がった?
これって個人のWifiだよね?
不安があったけど年賀状を12時ちょうどに送ってみる。
あ、送れた…
達成感。ホッと安心、ココロの重荷から解放された。
飛行機に乗ってイグアスに飛び立った。
窓の外はどこまでも続くジャングル。あれかな?遥か遠くにクレーターみたいなイグアスの滝が見えた。
タクシーに声をかけられた。ま、いっか。
ね、安い宿につれてって。
空港のそとはすぐジャングル、ずっとジャングルの間の道を走り抜けてく。
綺麗に舗装された道路や看板はいかにも南米の一大観光地。ここはイグアス国立公園で世界一大きな滝がある。
ずっと心配だったコトをタクシーの運転手にきいた。
大晦日だけどホテル空いてる?
ほとんどフルだよ
やっぱり…
イグアスの村は平屋の建物がぽつぽつとあるだけで空がひろかった。
ドライバーのおじさんに走りながらホテルをいくつか紹介してもらって降りた。
お金がないし…両替さきにしないと。
歩いてるとホテルの客引きに会う。
300ペソだよ
うーん、4200円か、高いなー両替できる?
両替なら2ブロック先を右だよ
とりあえずホテルは空いてるみたいでほっとした。
イグアスの村を歩いた。
どの家も平屋で緑の庭が広くてワンブロックが大きかった。
それにしてもこの村、両替がすぐ見当たらない。タクシーに先に連れてって貰えば良かったかも。
道を間違えながら、いろんな人に道を聞きながら、村の中心の通りに辿り着いた。
この村で両替できるのはアルゼンチン銀行だけみたい。
公には1ドルが8.3ペソのレートだけど、闇レートでは14ペソで公然と行われているって聞いた気がする。
イグアスでは取締りがきびしいのかな?
銀行は閉まってた。今は4時5分…え?4時に閉まるの?
ホテルの支払いどうしようか、話せばなんとかなるかな。
道を戻ってタクシーが紹介したホテルについた。緑の壁が印象的はジャングルの中のロッジって雰囲気。
空いてたし200ペソ(3000円)だった。ここにしようかな…
支払いはあとにしてくれた。
明日銀行に行かなくちゃ。そして両替してホテル代を払わなきゃ。イグアスのチケットも買えないし…
この時は明日は元旦で銀行は閉まってるなんて思いもしなかった。
なんか食べようかな。でもイグアスの村道をぶらぶらしても観光地みたいなレストランばかり。
どうせ美味しくないだろうし、家族連れに混じってナイフとフォークをカチャカチャするのはイヤだった。
ホテルの前のお店でサンドイッチを買って部屋で食べた。
そういえば今日は大晦日だった。
イグアスは小さい村だし、カウントダウンなんてやらないんだろうな…
あれ?花火の音?
あわてて道路に飛び出して音の方向を探した。
よく見えない。
交差点に小さな人だかり。行ってみる。遥か道路のむこう遠くの街に小さく上がる花火。
遠くの街の花火をぼんやりとみてた。
あ、近くからも花火の音。
あれはきっとイグアスの滝の方?花火は木に隠れてみえにくい。歩いてみえるとこを探す。
喚声をあげる人たちに混ざってみてたちいさな赤い光。
2015年を迎えて、初めて海外で年を越したことにスコール。
安いビールだけど。