ブエノスアイレス 1月13日

今日は旅の最後の日。
荷物をまとめる。足に合わないサンダルはゴミ箱に捨てた。

きのう乗れなかった観光バスに乗ろうかなぁって思う。
そのままレコレータ地区へ行って美術館巡って、あと空港までのタクシー代を両替して…
飛行機は夜7時なんだから時間はあったし。

ブエノスディアス。なかよくなったホテルのカウンターでチェックアウトしてバッグを預けた。奥の部屋にあった柵の中に保管される。
段々と雨がひどくなってる音が聞こえる、と思ったら土砂降りの大雨。出かけられない?
ソファーに他の客と座りながら天井を見上げた。あそこから雨漏りしてる…
天井を見上げるホテルの人、カップルがiphoneに向かってる、だれかがPCに向かってたり、本を読んでたり。誰もお互いを意識してなさそうで居心地がよかった。


小雨になったので外に出て歩いた。
身体が雨で濡れてきたけど耐えてた。あ、限界…近くのカフェに入ってハンバーガーとコーヒーを頼むけど、これってハンバーガー?パンが固すぎてナイフとフォークで食べる。
お店のおばさんがとても笑う。この街の人達はホントによく笑う、だから笑ってしまう。
違うのかな、私が少しキョドってるから笑ってるのかも。

通りを歩いて観光バスの事務所についた。1日券を買おうとすると400ペソ(5600円)!?
バスの1日乗車券が高くてびっくり、地球の歩き方には120ペソって書いてたのに。ここでペソを使ったらタクシー代がなくなる。
停まっているタクシーに乗った。メガネをかけたインテリっぽいおじさんの運転するタクシーはNYみたいなサン・ニコラス地区を抜けて緑の公園広がるレコレータ地区へ。
上がるメーターにびくびくしてたら500円ぐらいでレコレータ墓地に着いた。

運転手が指差した墓地の入り口から中に入った。
あーすごい!5mぐらいの広さに建物みたいなお墓。まるで街の通りみたい。
お墓の中を覗くと小さな祭壇と下には棺が置いてある。地下に向かって階段があるのや天井がステンドグラスになっていて採光してるの、光がホコリっぽい内部を照らしてるのは少し怖いゴシックな空気。
1つ1つ覗きながら、広い墓地の中を見て回る。どのお墓も色々違ってて見てて楽しかった。大きさも色々でたまに巨大なお墓もあった。
ココはアルゼンチンの歴史上の人や有名人が多いらしいけど。中には管理している人がいないのか荒れ果てているお墓もあるけど。

 

 

 

レコレータ墓地を出て、白く綺麗なピラール聖堂を覗いた。
壁伝いに歩いてブエノスアイレスで1番観たかった国立美術館へ歩いてった。広い緑の公園を歩く。遠くに見えるめちゃくちゃ巨大な西洋建築。
車の隙をぬって道路を小走りで渡った。緑の木の生える芝生から芝生へ、最後の通りを走って渡って国立美術館へ。

 

 

巨大な国立美術館、なんだか扉が開いてない。映画のワンシーンのような広大な階段を上がって巨大な扉を確認するけど、まさか休館日?
入り口は他にあるのかしら?
横に回ると入り口があるけど裏口っぽいし…だけど国立美術館は1番行きたかったし、何がなんでも入るつもり。
どうみても駐車場にしか見えない入り口に入って行くと係員に優しく止められる…やっぱりね…
他の客と一緒に入ろうと外で待って、知らない人にくっついて入るとまた係員に止められる。え~、今あの人は入ってったじゃん?
ココは美術館ですよね!係員に地球の歩き方を広げて見せようとすると建物の形が違う。アレ?間違えちゃった…
すいません、国立美術館はドコですか?アッチだよ。
あ、ありがとう!チャオ
でも、なんの建物だったんだろ?
また広い道路を車の隙をぬって渡った。
言われた方角に歩いてると左手にピンクの国立美術館が見えた。さっきの建物と比べるとかなり小さいけどそれでも巨大だけど。
ブエノスアイレスの建物はどうなってるんだろ?巨人の国みたいなスケール感。

最後の日、アルゼンチンじゅうのアーティストが集まってるというアルゼンチン国立美術館に入れました。

 

 

 

絵画にガラスが貼ってないのは分かるんだけど、ロープも貼ってない。目の前5cmぐらいで観れた。フリーっだし。
油絵の匂い漂う館内を1階から見て行く。ラファエロやゴッホ、マネ、ドラクロワ…
もし転んで頭突きでキャンバス破ったりしたらどうなるんだろ?想像してたら手に汗かいた。

近づいて見てたら係員に注意される。
床にテープが貼ってある。
あ、コレがロープの代わり。

係員もゆったりした雰囲気、どの作品も日本だったらガラスとロープの奥、撮影禁止だよ。
ブエノスアイレスってホントに余裕のある街だなって思う。
悪意のある人が1度でもイタズラすればガラスやロープが張られてしまうのかな、それともこの放任を続けるの?
深夜まで公園で続けられるタンゴにも感じたけど。ルールを作るのは簡単。

2階に行こうとしたけど封鎖されてる、今はやってないみたい。
残念だからもう1回見て回る、さらにもう1回…

 

最高だった国立美術館をでて国立装飾美術館へ歩く。
道路を小走りで渡って緑の公園を歩いていく。結構距離があるんだね。道路の向こうに見える建築物がそうみたい。とても繊細な建物でブエノスアイレスで1番美しい邸宅を改築したそう。

入ってチケットを買おうとするとフリー!え?月曜日は無料なんだ。
1階を見て回ると吹き抜けの美しい部屋に飾られた巨大なタペストリーや白く統一された家具や食器、暖炉、本棚、贅沢なバスルーム…アレ?なんだか人ん家みたい。
ソファーに座っても人ん家にいる感じ。
2階に上がって吹き抜けから1階を眺めながらぼんやり、なんとなくのんびりしてていいな。出口で募金箱に100ペソ入れる。
ホントにありがとう、国立美術館の分もまとめて入れる。

 

 

外でタクシーをつかまえて地球の歩き方の地図を広げて5月通りまで送ってもらった。
渋い運転手が渋い声で話しかけてくるので、スペイン語で分かりませんって伝える。
少しするとまた渋い声で話しかけてくるのでスペイン語で分かりませんって伝える。

5月通りで停車。少し戻って、カンビオ(両替)!の女の人に声をかける。
ブラジルレアル両替したいんだけど。
ちょっと待ってね。
女の人は別の男の人に話しかけて私を近くのビルまで連れて行く。エレベーターで上がった狭い一室に連れて行かれると何人かがソファーに座ってる。
あ、怪しい…
両替が禁止されてるのは知ってるけど…あんな大声で言ってるからその場で替えてくれるのかと思ってた。
隣の部屋に通されて、ガラスの向こう側のおじさんに100レアル渡すと高いレートで返って来る。またエレベーターに乗せられて外にでた。

もう4時過ぎ今日1日想像以上に色々と観れたし、良いものばかりで最高に楽しかった。
急に出た涙をTシャツの袖で拭いた。
俯いて早歩きで5月通りを渡る。
隠れる場所を探す。そんな場所なかったから俯いて歩く。
街中で恥ずかしいな、早く止まってくれないかな。

ホテルでバッグを受け取る。今日で日本に帰るよ。どのくらい旅してたの?1ヶ月、ペルーのリマから、マチュピチュ、ウユニ塩湖、アンデス山脈を越えて、イグアスの滝、リオデジャネイロ。
そうなんだ、いい旅を。
本当に楽しかった、グラシアス!アディオス、握手して別れる。

ホテルの前でタクシーを止める。エセイサ国際空港まで。400ペソだよ。高いよ(行きは相乗りだけど200ペソだし)300ペソにして。
350ペソで。他のタクシー使うよ。降りて次のタクシーを止める。350ペソだよ。
オーケー!アレ?走り出して気付く、何がオーケーなのか分からない。
まあいっか。
タクシーは郊外に移り高速道路へ、少し見覚えのある風景を走る。この道も3回目だし。
右に折れて空港に。運転手に握手された。

これから東京まで、ペルー、アメリカを経由して1日以上の飛行機の旅になる。
美男美女の街、深夜まで音楽が鳴って踊り続ける街、笑顔が返ってくる街。