上海 10月20日
冷たいモーテルの近くの食堂でパイコー麺を頼んだ。
うん、言葉が通じない
高い壁にかけてあるメニューを指差して、これっこれって飛び跳ねながら頼んだら笑ってた。
いっしょになって笑う。
北京と同じ細くて白い硬い麺で美味しかった。昨日の夜もココに来れば良かった。
地下鉄の入り口、ヒッピーぽい欧米人がアクセサリーを地面に置いて売ってた。人はただ通り過ぎていくだけで、アクセサリーも蹴られちゃいそうだった。
巨大都市は人も無関心で続けるのツラそう。
地下鉄の耀華路駅は近未来空間。数年前に上海万博があって、ここはその時の跡地になってるみたい。
万博の建物たちはどれも不思議なデザイン。使われなくなって無人になっても殺風景な風景の部品になってた。
その建物の1つを使ってる美術館はすぐに分かるほど巨大ですごく遠くに見える。
周りに何もない道路を歩いていく。美術館の近くに行くと観光バスなんか泊まってて観光客もいっぱい。チケットを買おうとするとフリーって言われた。
ひろーい階段を上がって、エレベーターに並ぶと行き先はなんと13階。12階までは柱だけのデッドスペースってことなのかな?
フロアはいくつかに区切られてて、どこから見ればイイんだろうってぐらい広かった。
あっちへ行ったり、こっちを見たり。
上海の時代を描いた絵画がどれも凄くて迫力あって、皇帝に媚びる宣教師とか、大衆に入り込む西欧文化とか。
あとは風刺画、コーラを近代ビルに見立てたり、アメリカのキャラクター?をパクるコトを風刺してたり。
1番好きだったのは、小さな散らかった裏路地の商店で子供がTV画面を覗いてる作品。
小学生以下の子供たちの絵もあってカラフルに色が使われてる。
なんか創造に抑えがなくて、選ばれたイラストは子供ってバカにできないほどの作品ばかり。
画に天才的な小学生の絵って新鮮だった。
アニメーションの展示が切り絵だったんだけど、子供のころに見たことがある気がする。
なんか懐かしい気持ちになった。
建物が広すぎるから、アレだけの入場者がいても混み合わないんだね。
ぐるぐると回ってるとガラスの向こう、はるか遠くに霞むように超高層ビル群が見える。
あれがバンド、上海金融の中心地なんだ…
カフェで休みたかったけど、館内のカフェは閉まってた。
エレベーターで降りた先のスタバに入りたいけど、お金がなかった。銀行が閉まる前に両替するのが先かも、帰れなくなっちゃうし。
1階で対日戦争戦勝70年記念展というのやってた。置いてあるのはすごい作品に見えたけど私は日本人だし人目を気にしてやめてしまった。今思えば日本人ってばれないだろうし見れば良かったなって。
ディズニーの風刺画みたいな有料の展覧会に入ったらホントのディズニーの企画展で…海外でみるような物じゃないし、なんかお金払って損したな。
万博跡地って郊外には何もないけど、どこまでも続きそうな土地を何ブロックも歩いた。
お金がないから銀行をさがしてるんだけど…
歩いても景色が変わらない、この距離感つらいな…
やっと見つけた銀行で両替したらおじさんが両替初めてみたいで慌てて他の人に聞いてた。
両替してくれたのはかわいい女の人で受付してる間めちゃめちゃニコニコしてた。終わったら青いボタンを押す(青いボタンは満足)。ぴっ
お金が入ったとたんに夜ごはんを食べたくなる。でも、ここら辺は高そうだし、カップルとか家族の遊びスポットみたいでひとりで食べてる人が少ない。
歩き回って地下に安い食堂を見つけた。麺と水餃子を食べた。水餃子の食感がぷりぷりで今まで食べた餃子で一番美味しかった。麺は美味しいんだけど、いつもみたいにラー油をぶちまけて台無しにした。
遠くのほう、高層ビル群。霧に光を放射し続けるバンドが蜃気楼みたい。
コンビニでジュースを買って海沿いの公園を歩いた。海岸線沿いを歩けば、もしかしたら遠くに霞むバンドに行けるかも。
すこし歩いたけど公園は途中まで、もう先には進めない。
鮮やかにライトアップされた巨大なメルセデスベンツアリーナに入ってた。
エレベーターであがると映画館に駆け込む人たち。上は映画館やレストラン。貝みたいな外縁の通路を1周まわる。
内側には高そうなレストラン。そのお金の匂いに疲れてしまってエレベーターで降りた。
帰ろうかな…
素晴らしい美術館でサイコーの時間を過ごしても、つまらない満員の地下鉄のストレスで上書きされていく。
もしかしたら感覚を残して寝れるかも。
iPhoneで撮った好きな絵画を人にもまれながら、周りをみないようにずっと見てた。
地下鉄を降りて宿に向かって歩く。
あのモーテルには戻りたくなくて、近くのカフェでぼーっとアイスコーヒーを飲みながら、夜の上海を眺めてた。