シムケント 1月7日

バスのカーテンを小さく開けた。
二重になった窓ガラスのあいだに水がたまってる。
急に停まったりするとちゃぷんちゃぷんと波をつくる。
真冬にはこの水も凍りつくのかも。

アルマティからシムケントまで700km。
カザフスタンを西にむかう夜行バスは人でぎゅうぎゅうで窓も真っ黒で外が見えなかった。
気持ちを逃がせる場所がなくて、カーテンを開けたときに見える小さな波だけ。
苦しいから早くつかないかな。

明け方、シムケントに着いたときは身体がばきばきになってた。
景色が見えない移動ってほんとうに苦しい。何時間もトイレに行きたかったし。
広いバスターミナルの対角線上にあるトイレをみつけて走った。

宿まで歩こうかなと思ったけど4kmはありそう。
1時間歩くのもな…
テキトーにバスに飛び乗ったらぎゅうぎゅう、背中のバックパックがつらい。
おばさんにお金を請求される。車掌さんかも。
大きい紙幣を渡したらお釣りがなくて周りの人からかき集めてた。揺れる車内で大変そう。うーゴメンって言ったらイイのよって言われた。

バスは街の中心へ。公園や緑が増えてきてきれい。
途中で降りて宿の方へ歩いてった。
カザフスタンの街は大きくて広い。
数ブロック歩いたら目的の黄色い大きなホテルがみえた。
今日はすこし贅沢して湯船のあるとこを予約してた。だから泊まるのがすごく楽しみ。

ホテルのカウンターでアーリーチェックインって言われる。
アーリーチェックイン?え、なに?
まだ9時だから宿代が1.5倍になって4000円を超えるよっていわれる。
や、4000円はマズイよ、高いよ。うーうーしぶってるとやれやれって感じでサービスしてくれた。
ありがとうね。

部屋は3階にあってテラスまでついてた。ベッドめっちゃ大きい、きれいだし。
夜行バスで身体が汚くなった気がしてた。
バスタブのストッパーを掃除のおばさんにもらってお湯をためる。
長旅の疲れを癒します。お風呂最高。

身体をきれいにしてから着てた汚い服も洗濯もする。エアコンで乾かした。きっと明日には乾いてるでしょ。
快適なホテルがうれしくてゴロゴロして紅茶いれたり読書して過ごしてた。

夜に外へ。お腹も減ってたし。
道は街灯もなくて真っ暗ですこし怖い。
ココは郊外なのかもしれない。
てくてく歩いてると遠くにお店の灯りがみえる。
入ると小さなケーキ屋さん。
大きな男の人がケーキをじっと選んでてかわいかった。
美味しそうなパンを2つ買う。

夜道をてくてくと歩く。
シルクロードを東から西へ。
ここは国境の街シムケント、カザフ語で草原の街。