ブハラ 1月15日

ブハラの近くにイスラムの聖地があって、巡礼者が世界中からやってくるんだって。
聖地の名前はバハウッディンっていう。

宿を出て薄い黄色と青空のブハラの道を歩いてった。
こんな景色のなかを歩けるなんて。あー異国だなーって思う。

バハウッディンまではバスで行くって聞いてた。
だいぶ街外れ、たぶんここらへんだと思うんだけど…
曲がり道の場所にはムスリムのおじいちゃんたちが座って会議してた。

こっからバスで行けるか聞いたら、タクシーじゃないとムリだって。
バスの路線が変わったのかな?まあいっか、しかたないから歩きながらタクシーに乗った。

 

並木道をしばらく走ってると聖地に近づいてきたみたい。
ドライバーが指さすほうに緑溢れる美しいモスクがみえる。
駐車場でドライバーのおじさんがザクロを渡してくれる。ザクロ、ルビーみたいできれいだよね。
手で割って食べた。中央アジアではザクロが安くて美味しい。
ここらへんには100円くらいの巡礼宿がいっぱいあるんだって教えてくれる。100円イイなーって言ったら、旅行者には見つけられないよって笑ってた。

ドライバーのおじさんが聖地のガイドをしてくれるそう。あとでガイド代取られるかも、すこし身構えた。
おじさんについてモスクを歩いた。
枯れ木みたいなのが置いてある。神聖な枯れ木なのかな?おじさんが写真撮れ撮れいうから、ふたりでぱしゃり。

椅子に座っておじさんのマネしながら、手のひらを顔に向けてお祈りをする。お祈りが終わったらお菓子が回ってくる。
小さな本屋があって、おじさんは花柄の本を取って読んでた。かわいいなって思って何?って聞いたら365日の大切な言葉みたい。おじさんはそれを買ってった。

 

ブハラに戻ったとき、私はガイド料を請求されるんじゃないかって身構えてた。でも請求なんてされなかった。
中央アジアの旅では見返りを求めない親切が多かった。疑ってゴメンね。

今日はもうひとつ、最後のスルタンが住んでたっていうハーン離宮も行きたい。
ハーン離宮もけっこう離れててバスで向かう。
ブハラの街をバス停まで歩いた。

歩いてて気になってた古いモスクにあるブハラのペルシャ絨毯のお店、立派な絨毯がいっぱい。
高いのかな、いちばんデカいのを聞いたら20万円ぐらいだった。1年以上かけて創るみたい。

 

郊外から乗り込んだバスは最初がらがらだったけど、大きなマーケットの前で停まって客を集める。30分後、ぎゅうぎゅうになってしまった。

バスは幹線道路を飛ばす。
う、ヤバい、この勢いで走ってたら離宮、あっと言う間に通り過ぎてっちゃいそう。ぎゅうぎゅうで降りれないし。
慌てて降りたら離宮から1kmぐらい通り過ぎてて、横をびゅんびゅんとクルマが時速100kmで通り過ぎる。

もちろん歩いてる人なんてひとりもいない。
反対車線には渡れないし歩いて戻るしかなかった。
幹線道路を歩いたことは何度かあるけど、心細いぽつんとした気持ちになる。

 

15分後、クルマの通らない脇道にそれてほっとする。小さな食堂もちらほら。
しばらく歩いて離宮にたどり着いた。
広場に小さなバスがぽつんと停まってる。帰りはアレに乗ればイイのかな。

離宮の中庭にはお土産も売ってて、おばさんたちが賑やかで笑ってしまう。帽子高いよー。
孔雀もいっぱいいてびっくり。
孔雀、なんて綺麗な鳥なんだろう。

離宮はヨーロッパに留学したスルタンが作ったものみたいで、そんなに豪華でもないし中途半端だった。
こんなにヨーロッパ風にする必要ないのに。今までの王宮の方がずっと豪華だったろうに。
お金だけかけてつまらないものを作ったように感じた。

 

離宮から離れると荒れ地のむこうに崩れかけたレンガの廃屋がみえた。
なんだろう?
近づいて廃屋を覗いたら、ワンワンワン!ってめっちゃデカい犬が吠えてきた。
こ、こええ。鎖で繋がれてないし、かなりヤバそう。

慌てて来た道を帰った。
こ、怖かった…

欧米人の老夫婦が出口を聞いてきたから、廃屋を指さした。