テヘラン 1月28日
今日は早めにアパートをでた。今日もバス遅れたくなかったし。
小さなバスに乗って郊外のバスターミナルへ。
テヘラン行きのバスは1時間後に出発。みんなバスの周りでのんびり待ってる。
アゼルバイジャンのお金はもういらないよね。最後のコインで子供からコーヒーとカップに入ったナッツを買った。
種おいしい、ぽりぽり…
でも1時間は長いなー。
1時間後、バスはアゼルバイジャンの首都バクーを出て南へ走った。
アゼルバイジャンとイランの国境は200kmも南、テヘランはさらに400kmも南にある。
もしかして長い旅になるのかも。
街を出てすぐは右側は盆地みたいになってて緑の森がひろがってた。
左は丘になってて建物が並んでた。
右側に座ればよかったかな…
国境に近づくにつれて左はカスピ海沿岸の風景になってく。
草原とそのむこうには寒そうな海。
灰色の空と海をバックに石造りの廃屋がぽつんぽつんと建ってた。
スコットランドってこんな風景の気がする。行ったことないけど。
草原の上を一本の錆びついた線路が走ってた。電車、走ったりするの?それとも廃線?
遊具がならんでる小さな遊園地を通り過ぎる。こんな淋しいとこに遊びにきたりするの?近くに街なんてなさそうなのに。
イランとの国境についた。
バスを降りてアゼルバイジャンのイミグレを越える。問題はイラン側で日本人は指紋を取らなきゃいけないって聞いた。
バスに乗ってたイラン人のおじさんがこの人は指紋取らなくていいんじゃないかって国境警備隊の人に言ってくれた。
でもダメだったみたい、自分ひとりだけ奥のソファで待たされる。
警備隊の人がルールだからゴメンねって、お茶を出してくれた。
指紋は国境近くの警察署で取らなきゃいけないみたい。
イミグレを抜けて国境警備隊の人につれてかれた。
イラン側に入ったとたんに街が賑やかに活気づいた。たくさんのお店に大型バスやクルマたち、人々の談笑と色鮮やかな野菜市場。
あ、アジアって感じする。
市場を歩きながら国境警備隊の人がココが両替のレートがいいよって両替してくれた。
両替のレートをいろいろ教えてくれる。公式より闇両替の方がレートがいいんだって。
すこし離れた警察署で待ってると白髪のめちゃめちゃ威厳のあるおじさんがやってきた。
し、渋すぎ。なんかゴッドファーザーの映画みたいだ…
書類に父親の名前とか、ひとつひとつ書かされる。最後に指にベタベタと墨を塗られて、左右の指ぜんぶの指紋を取られた。
そういえば日本人なら漢字書けるよね?
そのおじさんはムハンマドっていうみたいで「無判窓」って漢字で書いたらゲラゲラ笑ってた。
なんか楽しい…だんだん楽しくなってペルシャ語を漢字でいろいろ書いて3人で笑う。
外の水道で手を洗ってバスに戻った。
国境のもどるとバスが見つからない。
う、どうしよう…
いっしょにいた国境警備隊の人がバスに連絡を取った。すこし南のガソリンスタンドで待っててくれてるみたい。
国境警備のクルマでバスを追いかける。
イランに入ったとたんに人々とのコミュニケーションが生れる。
街をぬけると中国の水墨画に出てきそうな山々と霧の風景を走ってく。中東にこんな景色があるなんて…
バスはガソリンスタンドで停まって待っててくれた。
外は夕暮れになってた。テヘランまでは400km。
夜のテヘランの街は東京みたいだった。
何処までも続く高層ビルと首都高みたいに入り組んだ高速道路。無数の星みたいなオレンジ色の灯り。
なんて巨大な都市なんだろ。
いままでの中央アジアの街とは違う桁外れの大きさ、唖然として街を眺めてた。
バスは食堂で停まった。
イラン人の夫婦とご飯を食べてると、泊まるとこがないなら泊まりに来なさいって言われる。
うれしいけど、いまはひとりになりたかった。
ご飯を食べ終わったらTELと住所を書いて渡される。
これが有名なイランのおもてなし、ふふってうれしくなる。
バスの旅もそろそろおわり。食堂の前でイランの人たちと写真を撮った。
テヘランの街をバスは走ってって、すこしづつ乗客が減ってく。
バスは最後に数人を降ろす。
ドライバーに泊まる場所はあるか聞かれる。テキトーに探すつもりって言ったら、他の客数人を連れて安宿まで連れていかれた。
小さな部屋にベッドがふたつ。
いっしょにきたアゼルバイジャンの人が同じ部屋にしようっていってくる。
最初は警戒したけど。
聞いたら明日からイスタンブールへ向かうみたい。バクーからだと高いからテヘランから乗り換えて向かうんだって。
何時間ぐらいかかるの?
24時間ぐらいかな?
真っ暗な部屋で天井を見ながらふたりで話した。
私は南へ、その人は西へ。
イスタンブールにも行くかもしれない、そしたらまた会えるかもね。