ヤズド 2月6日

ツアーに間に合わなそうで走った。
背中のバックパックがタイミングよく左右に揺れてランドセルみたいで恥ずかしい。
事務所についたのは最後だったけど他にも遅れたひとがいた。
5人が小さなクルマに乗って北のペルセポリスに出発。

シーラーズの入り口には美しい門があって、来るときにバスからそれが見えた。
あの白い建物、何だったんだろ。
クルマから気をつけて見てたンだけど、その門はみつからなかった。

 

古代ペルシャの都ペルセポリス。唖然とするような巨大な石の上にあった。400m四方、15mの高さに石を組み上げてる。
遺跡は石の上にあった。

砂漠のなかに、どかんと置かれた石でできた街。

 

ペルセポリス以外にも遺跡をふたつ見てシーラーズへ戻った。
私はひとりだけ郊外のバスターミナルで降ろしてもらう。

この街を離れようと思ってた。
行き先は決めてなかったから、ベンチに座ってぺらぺらと地球の歩き方をめくった。

ヤズド…ここかな。

オーストラリア人がヒッチハイクで向かうって言ってたっけ。
行ってみようかな。

 

チケットを買ってバスに乗った。
ヤズドまで400km。バスは荒野を北東へ。

 

途中で検問とかあって緊張したけど、バスは何ごともなく走ってった。

 

バスは郊外の何もない交差点で停まる。

え?終点?
う…、ヤズドの中心からかなり離れてるし、周りに建物もないよ。高速道路から降りました、みたいなとこ。
街灯が1本立ってるだけだし…
遠くにヤズドの街の灯りがみえた。

 

周りの人たちは次々にタクシーに吸い込まれて消えてった。
ひとりになった。

タクシー使うしかないのか、しかたなくタクシーで中心地にむかった。

 

走り始めて気がついたンだけど、めちゃめちゃ遠い。

タクシーを値切り過ぎてた。
だからあんなにドライバー嫌がってたのか…乗せてくれたのはただの親切だったんだ。
運転しながらドライバーのおじさんがヤズドの歴史とか、家族の話とかいろいろ話してくれる。隣にいて罪悪感がひどい。

中心地のモスクに着くと、いっしょに歩いて宿まで連れてってくれる。
1軒目は高かったから2軒目の宿にした。

ドライバーのおじさんに言い値を払おうとしたら、受け取らなかった。
いちど決めた値段だからって、笑って去ってった。

 

宿はめちゃめちゃ綺麗で、イランの伝統的なゲストハウス。
2階の角の部屋。広くてきれいで、キッチンまであるし…これは…ずっと泊まってたい。

宿の人はめちゃめちゃおしゃべり。
屋上に登れるよって言われて登ってみる。

 

すごい、街が見渡せる。
すぐ近くにライトアップされたモスクがあった。ヴァルザネフも綺麗だったけど、ここも綺麗だな…

 

シャワーを浴びて街を歩いた。
ヤズドの街は夜も明るかったけど、シーラーズみたいに粗野な活気は感じはしなかった。穏やかというか、街が小さいのかな。すこしほっとする。

 

歩いてて何も食べてないことに気づいて、
近くの食堂で三角形のサモサをふたつ食べた。

通りを歩く帰宅途中の人たち。小さなTVからはペルシャ語が響いてた。