エレバン 2月14日
レタスとトマト、チーズはパンに乗せて焼いた、ソーセージは茹でた、あとミルクティー。
この家だったら、ずっといれそうな気がする。
エレバンの近くにエチミアジンって街があって、韓国料理みたい名前って思った。
写真には世界遺産の白亜の大聖堂が写ってる。
行ってみようか?
ホストの家からバスターミナルまで歩いてった。
思ってたより遠くて、クルマがびゅんびゅん走る大通りを渡らなきゃいけなくて怖い。
エチミアジン行きのバスはすぐ見つかった。
隣りの街だし。10kmしか離れてないから歩いてもいける。
ほとんどの国は隣町との間には平原だったり森だったり、ふつうは空白がある。日本は途切れなく家が続いてるけど。
平原をまっすぐ走る一本の道。遺跡に近いとこでバスから降りた。
遠くに高い塔がみえる、あれがエチミアジンの街かな。
あ…、まだだいぶ遠いね。
近にある遺跡目指して、横断歩道のない道路を渡った。
小さな村があって、ぼろいロシア製のトラックが置いてあってカッコいい。
映画でみた東欧の貧しい農村みたい。
裏庭でケバブ焼いてる。なんか食べさせてくれようとしてくる。
ねえ、遺跡は?
あっちだよ、ケバブ食べる?
遺跡は…あれ?白亜の大聖堂じゃないの?黒い石の廃墟だよ。
それに、これは聖堂じゃないし。
きっと違う写真をGoogleに載せた人がいるんだ。
歴史的には価値があるんだろうけど…平原に何千年もたたずんでてさみしい。
ん、このまま帰るのもつまらないし、このままエチミアジンの街まで歩こうかな。
露店でコーラを買って、iPhoneから音楽を聴きながら、まっすぐ道を歩いてった。
街の入り口にはアルメニア正教の古そうな教会。
石造りで重そうな屋内にはステンドグラスの光が射してて雰囲気あった。
ろうそくを買って水に差してお祈りする。
ドアから出ようとしたら外に警備の人がいる。
チケット買ってないし、もしかしたら買わなきゃいけなかったのかも。
見つからないように裏口からでたら墓地が広がってる。
小さな子犬が近づいてきて甘えてくる。
キミ、かわいいね。
なでたら墓地に消えてった。私もついてく。
すこしのあいだだったけど一緒に散歩した。
街の中心へ歩いてった。ちいさな街だなって思う。
大学かな?キャンパスが広くて緑できれい。
黄色い小さなバスでエレバンまで戻りながら、おばさんといろいろ話してた。
エレバンではオペラハウスの行き方がわからなくて、次々にくるバスの行先に目を凝らす。
うーん、アルメニア語?読めないし。
オペラはопераだよ、簡単だろ?隣のおじさんが言う。
あ、ほんとだ…
これってキリル文字だよね、ブルガリアでみた気がする。
バスに乗ったら、センターに近づくとぎゅうぎゅうになってくる。
狭いバスの中ででっかい楽器を背負ってるコがいてカッコいいなって思う。
ごめんなさい、人を押しのけるようにして公園で降りた。
とてもきれいな街。
人がすくないからかな?
なんか向こうにものすごい巨大な階段がみえる。なんかSFみたい…
オペラハウスの広場にはおもちゃのクルマが置いてあったり、風船割るゲームとか。
誰もやってなかったけど。
むこうの通りでストリートライブしてた。
かけよった。テンポの速い民族音楽って感じ。
ベンチに座って聴いてたらぼーっとしてきて、演奏が終わるまでずっと聴いてた。
ATMでキャッシングしようとしたら、ATMに他人のカードが刺さってる。
ひえ、すごいあわてた。
カードを引き抜いて、さっきまでいた人に走って渡した。
きっと、ほとんどの人は何も考えないであわてて返すんだと思った、条件反射みたいに。
ファーストフードでケバブサンドを食べる。
この街はふつう、すごくふつう。
東京ほど殺伐としてないけど、中央アジアほど柔らかくもなくてふつう。
家が居心地よくてよかったなって思った。あの部屋はオアシスだし。
音楽のつづきを聴きたくて、オペラハウスに伝統音楽を見に行った。
伝統音楽って言ってたけどカラオケ大会みたい。昔からのファンがずっと応援してます…
建物は立派なんだけど。
あ、でも、おっさんと女の人のライブがすごくよかった。
外に出たらもう夜。
家は街の反対側だったけど歩いてった。街灯のオレンジの灯りが石畳を照らしててきれい。
見上げたらアパート窓のむこうで食事してるのがみえた。せまい路地裏でカップルが言い争ってるがみえた。小さなワインショップで老夫婦が高そうなワインを選んでる。人のいない広場でスマホをみてる照らされた顔。