トリビシ 2月17日

2日でエレバンを出るつもりだったのに。家がめちゃめちゃ快適で何日もとどまってしまった。
街が好きだったんじゃなくて、きれいな家が好き。見たい場所はもうなかったし、ずっといるから気持ちも減ってきてた。

グリジアの首都トリビシまでのバスはすかすか。
バスターミナルの売店でパンとコーラを買う。
ベンチにすわって朝ごはんを食べる。こういう食事のほうが気が楽だし、自由で楽しい。

バスはすかすかなまま北へ出発。
となりのおじさんは調査でアルメニアに来たって言ってる、今日グルジアに帰るみたい。
雰囲気が大学教授みたいだったから、研究者さんとか?そうなのかな?

 

エレバンからトリビシまでは200kmぐらい。
コーカサスの山岳地帯をぐるぐる走りながら北へ走ってく。窓からは広々とした山岳地帯が続いてた。

自然のスケールがめちゃめちゃおおきかった。
国は小さくてもここはユーラシア大陸。自然に国境線なんて関係ないもんね…

 

国境を越えて、トリビシについた時は夕方になってた。
ボロいメトロ駅の前で降ろされた。
エレバンより綺麗じゃなくて活気がある気がする、雑然としてる。

となりの教授が行く場所があるのか聞いてくる。心配してくれてたみたい。
大丈夫だよ。宿予約してるよ。

メトロでカードを買ってチャージする。何日もいるわけじゃないし、100円ぐらいでいいよね。

地下鉄のホームは薄暗くて、壁が剥がれ落ちてて、どんよりと暴力の匂いがした。
うー…恐ろしい。
べつに何も起きなかったけど…

 

すこし郊外の駅で降りたら、小さな商店が並んでてにぎやかだった。
街の中心よりコッチの方が生活の匂いがしてイイかも。

トリビシの北側の住宅街にホームステイするつもりだった。

アパートの住所まで歩いてく。
郊外の団地の中みたい。
この建物のハズなんだけど…

1階のコンビニで住所を聞いたけど、わからないみたいだった。

困った、wifiがないと連絡取れない。
団地の中にwifiがつながる場所があるとも思えなくて、歩いて大通りにあるカフェへ入った。
連絡したらホストさんは今クルマで向かってるって。
なんだ、同じ団地に住んでるんじゃないんだ。

建物の前で待ってたらクルマが来て家族が降りてくる。
子供もいるし、ひとりじゃないんだね。
エレベーターでいっしょに部屋へ。
子供が可愛かったからウズベキスタンで買ったサマルカンドペーパーのケースをあげた。

 

夜、近くのカフェでご飯を食べた。
小さなイスに座ってみてると、入ってきて5分もしないで去ってく一人客がたまにいる。
カウンターにきてグラスのウォッカを一気に飲んだあと、テーブルの塩を指につけて舐めて、そのまま店から出ていく。
ロシア式の飲み方かな、カッコいいな。

メトロで夜のトリビシへ。
ステップふみたい。

坂を登ってくと巨大な三位一体聖堂がみえた。
めちゃめちゃデカい。形がシンプルだから、その大きさに違和感がある。
トリビシの教会は世界最大の正教会みたい。

聖堂の中は豪華で美しかった。しばらく遠くの天井を見上げてた。
掃除してる人たちが美人できれい。ボランティアかしら?
べつにすることもなかったし広い無人の庭を歩いて出た。

坂を降りてくときれいにライトアップされた現代的な公園が下に見える。幾何学的な区画やベンチ、デザインされた池。公園ぜんぶがアートみたい。

でも崖になってて公園に降りれない。
階段はどこ?
トリビシの街って高低差激しすぎない?

 

公園のむこうに光り輝くLEDで模様が変わる派手な橋がみえた。
あそこまで行ってみよう。
橋のむこうは観光地化された歓楽街で欧米人が好きそう。
クラブも何軒かあったけど、もうその時には踊りたくなくなってた。