バニュワンギ 3月14日
朝の4時、バニュワンギの駅は真っ暗。
バニュワンギはジャワ島の東端にあって、ここからフェリーでバリ島にいけた。それにこの街では友達が宿を経営してた。
長距離列車めあてのバイクタクシーが駅をでると声をかけてくる。
GlabやGojekがあるからだいたいの金額はわかるけど、アプリに表示された金額をみせると彼らは拒否してくる。
その場でスマホをタップすればアプリに登録されたドライバーが飛んでくるのに…
しかたないからGlabでバイクタクシーを呼んだ。
真っ暗だった山道をバイクは降りていく。
周囲はすこしずつ明るくなってきて、街は暗いオレンジ色に染まってた。
5年前と同じビビットカラーのド派手な建物。
今、家のまえにいるよ
Whatsappに送るとドアがひらいて、出てきた人と目が合って自然と笑顔になった。
この5年間で彼女には二人目の赤ちゃんができてた。その赤ちゃんが風邪気味だからほとんど一緒にいれないっていう。
しかたないよね。
部屋はかわらないビビッドカラーの壁に派手なディズニーキャラクターの枕とシーツ。
昨日の朝にジャカルタのイミグレーションで延長ビザを受け取って、そのままスマラン行きの鉄道に乗った。
ドーナツを食べながら眺めてたジャワの景色にも退屈になった午後、スマランに着いた。
周りには何もなかったけど駅にはコワーキングスペースがあって、売店で買ったチョコチップラテとパンをかじりながら日記を書いた。
蚊に刺されたとこがかゆくて、置いてあったアルコールを塗ってみたらすーっとかゆみがひいてった。
お昼すぎにバニュワンギまでの鉄道に乗った。
すぐに外は暗くなって、いつの間にか寝てた。
一日かけてジャワ島を西から東に鉄道で移動してた。
イスに座ってるだけでも、ずっと旅をしてると身体が汚くなった気がする。
シャワーで身体を洗って洗濯をした。
それからベッドで横になってたら寝ちゃってた。
お昼前に目が覚めた。
スクーターで行ける場所でどこがいい?って聞いたらRed Islandっていうビーチがいいみたい。
エンジンをかけようとしたらかからない。
忘れたの?って笑われた。
そういえば5年前もこのスクーターだったっけ?ブレーキをしながらエンジンかけるんだっけ?
彼女からバイクを借りて南へ。
インドネシアはとても日差しが強くて長袖をきてみんな乗ってる。
お金をおろして、おそい朝ごはんを食べた。
小さな街をいくつかこえると、とてもきれいな南国の田舎道になった。
Red Islandに着いたのは3時間たったとき。
U字型のビーチには誰もいなくて、地元の子供たちがヤシの木陰でサッカーをしてる。
白い砂浜はサラサラだった。
ぜんぜん人がいないしバレないかも、陰にかくれて水着に着替えた。すこしだけ海で泳いだ。
近くのカフェで遅いランチを食べてコーヒーを飲んだ。
来てよかった。
誰もいないし、ぜんぜん観光地化されてない、静かで穏やかで時間が止まってる。
どこから来たのって言われてバニュワンギって言ったら、そんな遠くから?!っておどろく。
え?そ、そうなの?
ビーチを出たのは夕方で、すこし走ると暗くなってくる。
たしか、来るのすごい大変だったような…
田舎道を通り過ぎて、市内をぬけていくと雨が降り始めた。
暑い熱帯の雨はぬるくて気持ちいいくらいだったけど、真っ暗になって日が落ちるとガタガタ震えるほどの寒さになった。
そういえば前ブルーファイアをみに行ったときも土砂降りになった。
その時はヤシの木の下にバイクを止めて震えてた。
そしたらブルーファイアに働きに来てた青年が助けてくれて、ふたりで山頂までのぼった。
朝までずっと話してたっけ。
でも、今回は助けてくれる人はいない。
いるかもしれないけど…そしたらうれしいな
カーディガンは雨水を吸い込んで重く垂れ下がってて、もう何のために着てるのかもうわかんない。
ガタガタふるえるほどの寒さ。
大型トラックの後ろは、すこしあったかい。
市街地のレストランの横にいるときも、すこしあったかい。
どうでもいい知識がふえてく。
寒すぎて雨宿りしてると似たような人たちがいて、目が合っておたがいに苦笑いした。
3時間後、命がけで家にたどり着いた。
そういえば天気予報みてなかったね、ってびしょ濡れの私の姿をみてげらげら笑われた。
え?それだけ?w