バリ島 4月9日

私のいるアパートはバリ島の中心にあるけども個性があまりない。
北のウブドは古都でおしゃれなカフェやバーが並んでる。欧米人もいっぱい。
西のクタには巨大なショッピングモールがいくつもあって、やっぱり欧米人でいっぱい。

このアパートはそんな場所から離れてて、街の真ん中にあるのに田舎みたいに静かな場所に立ってた。
部屋は3階にあって、ドアの向こう側には遠くまで熱帯雨林が続いててビルが見えない。
となりに住んでるのはインドネシアの人たちで、みんなこのアパートみたいに物静かだった。
だから私はこのアパートに1週間以上いる。

インドネシアをスマトラ島から旅して、ジャワ島を越えたら、バリ島にたどりつく。
世界有数の観光地らしくて、まだコロナは収束していないのに欧米人で溢れてる。
沈没しすぎて住んじゃってる人もいっぱいいそう。

バリ島はとても生活がしやすいから。
大きなショッピングモールがいくつもあるし、おしゃれなカフェやレストランがどこにでもあったし、メニューも豊富でおいしい。
バイクタクシーを使えば150円で街の中を移動できるし、レンタルスクーターは1日700円くらい。
道端のワルンで食事をすれば150円くらいでお腹いっぱいになれる。宿は1000円で泊まれる。
そして何よりも、バリ島は清潔で雰囲気が明るかった。
観光地だし伝統芸能や文化が充実してるからかも。

このアパートはそんなキラキラしたバリ島を、離れたところから空気だけ感じてるような感覚で好きだった。
お婆ちゃんの作る美味しいソトアヤムを食べれた。近くのレストランは広くて誰もいなくて作業にはぴったりだった。ローカルな人が買いに来る抹茶のアイスラテは飲み干すのがもったいないくらい美味しかった。物静かな猫が部屋に遊びにきてた。
このアパートのまわりは時間の止まった昼過ぎの田舎みたい。

でも、この先は何もない。そんな感覚がずっとあって。
バリ島の先には東ティモールとか、よくわからない未開の文明があるけども。それは小さな島々とジャングルと建物が続いてるだけなんじゃないか…

ユーラシア大陸をどこまでも進んでいくのとは違う、行き止まりにいる感じ。
旅するように生活してみたい。そう思って日本をでたけど、行き先のない、目的のない旅はわくわくしなかった。

 
 
今日も猫が遊びにきたから、なでてあげる。

1ヶ月いたバリ島をでることにしたよ。
君をつれてってあげる。