ギャ 6月20日
スクーターでラダックを旅してみたい。
それには、まずスクーターがレンタルできなきゃいけないんだけど…
街の人にきくと、みんなメインバザールに行けって言う。
言われるままに露店の並ぶせまい階段をあがってく。言われるままに広大な駐車場を歩いてく。
そういえば、この街で階段を上がると苦しい気がする。レーの街は富士山よりも高いからかも。
せまい裏通りを抜けると多くの人でにぎわうメインバザールに出た。
レーのメインバザールはデリーから来た観光客でいっぱい。
そういえば朝ごはん食べてなかった…
高そうな表通りのレストランをさけて裏通りにあった小さな食堂にはいった。
ちいさなテーブルが2つだけ。畳1畳くらいのちいさなキッチンがあって、女の子が通話しながら料理をしてる。なんとなくデタラメに打ったパスワードでWifiがつながってうれしい。
他に誰もいないし、いい場所をみつけたかも。朝ごはんにダルのパラータをつくってもらった。
メインバザールを歩いてるとレンタルバイクの看板がちらほら。
何件目かでスクーターを700Rpで借りれた。
走ってみろっていわれたから50mほど走って、もどった。乗ってから気がついたけどミラーは左右ともなかったけど。
ま、いっか…
バックパックを取りに宿までスクーターで走る。
レーの街は複雑に入り組んでて、一方通行が多くて行ったり来たり。記憶にある通りを思い出しながらやっと宿にもどれた。
きのう、宿の人は私をイヤな顔ひとつせずとても安く泊めてくれてた。
ありがとうってなんていうの?
ラダックのあいさつはジュレーっていうんだよ?
こんにちわ?ありがとう?どっち?
どっちもジュレーだよ!
チェックアウトのとき、宿の人は笑っていった。
バックパックをスクーターの足下にのせる。
さて、準備はおわったし、どこに行こう…
どこまでも行ける。頭がからっぽになるくらい自由な感覚。
南にむかって走ってみた。
緑の通りを抜けると茶色く荒れた大地が永遠と続いてる。
そんな砂埃の舞う大地にぽつんとあるカフェでコーラを飲んだ。
ぼーっと窓の外を見てるとトラックが砂埃をあげて走ってく。女の人が重そうな荷物をつらそうに運んでる。
カフェのソファもすこし砂っぽかった。
走ってると道が2つに別れる。
右の道に走ると川沿いを走る渓谷になった。草木の緑が涼しげでさわやかな渓谷。クルマがぜんぜん走ってなくて砂埃もないし空気が澄んでた。
小さな村をひとつ、またひとつ通り過ぎてく。ブレーキをかけたくなくて、ずっと走ってた。
渓谷を抜けると緑の大地がひろがってる。
はるか遠くに壁みたいにそびえる山があって、道がつづら折りに登ってる。
その向こうは濃くて透明な青空だった。
その道をトラックが一台ゆっくりジグザグに降りてくるのがみえた。
きっと山の上は4500mを越えてる。寒そうだけどいけるかな。
燃料は十分。スクーターで重そうにジグザグに登ってく。下をみると走ってきた道が細く細く遠くまで伸びてる。
アクセル回してもなんか走ってる感じがしない…
スクーターの力がゆっくりゆっくり抜けて静かにエンジンが止まった。
ペトロはまだいっぱいあるし、バッテリーがなくなったのかな?ずっと走ってたのになくなるの?
もしかして酸素が薄いからとか?そんなの関係あるのかな?
エンジンはかからなかった。4500mまで行きたかったけど、あきらめて登ってきた道をブレーキをかけながら降りてった。
でも、上から眺めたどこまでも続く緑の大地がきれいだった。
目をつけてた緑に囲まれた村で宿をさがしたけど、その宿に人がいない。宿に靴はあるのに無人みたい。
となりのレストランのおじさんと2人で大声で呼んでみるけど返事がない。
2人で待ってた。
おじさんの作ってくれたフライドライスはパサパサで今まで食べたフライドライスでいちばん美味しくなかった。
荒野に宿がみつかった。1000Rpで朝食、夕食つけてくれた。
村の名前はギャっていうみたい。刺されたときの悲鳴みたいな名前。
泊ってるのは私だけ。
宿の子供たちは4人姉妹で長女は日本のアイドルに夢中でそのこと照れながら話してくれる。
アイドルはしらない人。
この村の丘の上にはゴンパがあって、小さなゴンパだけど観光客がいない、本物のゴンパだってお爺ちゃんが話してくれる。
でも、このお爺ちゃんがまちがえて宿の鍵をしめちゃって建物から出られなくなった。
窓から出たらあわてて謝ってた。べつに気にしてないのに。
きれいな共同シャワーからはお湯がいっぱい出た。
夜ご飯はダルカレーで月明りのはいる部屋でゆっくり食べた。
とてもとても美味しかった。