沖縄 10月5日

沖縄の水族館には一匹のジンベエザメがいて、永遠のような時間をゆっくり泳いでる。
子供のころにそんな写真をみた気がする。
その水族館は遠い岬の先にあったから、私はスクーターで海岸沿いを走ってった。
遠くにみえる白くて巨大なホテルは何かの日本の映画に出てなかった?

そのジンベエザメは水槽を反時計回りにゆっくり泳いでた。
一周3分くらい。
10年以上もこの水槽にいるって、ということは一年は525600分だから…
525600 x 10 ÷ 3 = 1752000周
水槽を175万周すれば、この無限に続くぐるぐるから、このコは解放される。
でも、幸せなのかもしれない。周りにはたくさんの小さな魚が連れ添ってたから。

北にはしってく。北に行くほどクルマは極端にすくなくなった。
雨がふってくる。暑いよりいいかもって思ってたけど土砂降りになった。
古い大きなホテルと思ったらホステルって書かれてる。ホテルみたいな大きさのホステル、めずらしいかも。
古くて大きなドアを開けると欧米人が一人いるだけだった。
彼はスタッフを待ってるみたい。ベッド一つが一晩で3000円もする。高いねっていったら高いねって笑ってた。

もっと北へ。
雨はどんどんひどくなる。
橋をわたるとクルマはほとんど見なくなったし、建物も見なくなった。
雨は土砂降りになって靴下もびしょびしょになった。耐えられなくなった私は小さな村役場の軒先で雨宿りした。
誰もいない。
すこしホラーみたい。
雨が弱くなった気がする。気がつくと遠くの雲の合間に太陽がでてた。

小さな定食屋さんでオムライスを食べた。
島の人たちはみんな柔らかくて、私も笑顔になりやすい。
島の北側はホントに何もない。時々ヤンバルクイナが道路を走り抜けてく。
北端をぐるっとまわった。
小さな村の民宿に泊まろうとしたけどダメだった。何もないのに北側はホテルや民宿が高かったから。

気がついたら夜のハイウェイをびゅんびゅん走ってた。
街の灯りにかこまれてる。
いつのまにか大きな街までもどってた。