タフタン 10月27日

6年前にクエッタの街で青年に会った。
私はホテルに監禁されるのがイヤで飛び出した。近くのバーガーショップでハンバーガーを食べているとその青年に会った。
高校生の彼に私は50円玉をプレゼントした。
お互いにWhatsappを交換して帰国したあとも6年間のあいだ連絡を取り合っていた。

クエッタの街はバルチスタンというエリアにあって、反政府ゲリラがいるため治安がとても悪い。
外国人は24時間ポリスといっしょに居なきゃいけない。
ホテルも決められたホテルにしか泊まれない。ホテルの入り口にも鉄格子がある。

6年ぶりの再会はホテルの中になった。
その時は彼は高校生だったけど、いまは驚いたことにユーチューバーになってた。
ユーチューバーでの収入は月に14万円、パキスタンでは高給になると思う。
AIで絵本を作ってアマゾンで売ったり…なんとなくズルをする性格だなって思ってたけど適職なんじゃないか?って思う。
数人、人を雇ってるみたい。
そしてなんと今度、結婚するって。

そして、いっしょに来てたイケメンの友達はクリケットのプロ選手で大学で農業を学んでるみたい。
数年前に国際大会に出たとか
結婚したい彼女がいるけど親が賛成してくれないとか

彼らと話してるのはとっても楽しかった。
気がついたら時間が来て、2人と別れた。今度会う時はパパになってるんだねって言ったら恥ずかしそうに笑ってた。
頭痛対策に飴を袋いっぱいにもらった。
低血糖で頭痛がするときはこういうのがいいみたい。

まさか再会できるとは思えなかった。ここはクエッタ、外国人にはとても不自由な街だし。
この関係は大切にしていこうと思う。
きっとまた会える。私の人生はまだまだ長いんだ。

しばらくしてポリスが来て私をバスターミナルまで運んでくれた。
バスが出発するまでけっこう時間がかかった。
バナナを買った。ポリスのふたりはいい人たちだった。

バスに乗って白い世界を走ってく。
パキスタンは埃まみれで砂埃がすごい。白い荒地がどこまでも続いてく。
しばらく走ってるとアーミーの監視所でバスが停められた。
なんと私だけここで降ろされてしまった。

アーミーの宿営地に泊ることになった。
立派な客室で寝れるのはうれしいし、おもしろい経験だと思うけど。
アーミーの人たちはみんな親切だった。

部屋にいるとヒヨコが入って追いかけてくる。私を親だと思ってるのかも?
けっこう夜までヒマだった。